目次
紀光を紹介します(西川紀光という男;1995年の紀光;寿の哲学 ほか)
2007年、紀光の証言(テッポウで故郷へ;5歳が黄金時代;中学生のころ ほか)
社会人類学からみた紀光
聞き書きの後のこと(2007~2011;寿町の変化;紀光の新生活 ほか)
著者等紹介
ギル,トム[ギル,トム] [Gill,Tom]
Thomas Paramor Gill.1960年英国生。ロンドン大学(LSE)博士(社会人類学)。現在、明治学院大学国際学部教授。25年以上にわたり、日雇い労働者、寄せ場・ドヤ街、ホームレスを調査。博士論文は主に横浜・寿町で調査を行い、Men of Uncertainty:The Social Organization of Day Laborers in Contemporary Japan(State University of New York Press,2001)として出版(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
30
喧噪を離れた旅館の一隅に、ぽつねんと置いてありそうな、本書の手触りとタイトル。しかしながら、「阿保ダンス?」→「affordanceだよ」のやりとりを表紙に、中身はソーカル真っ青のポストモダン、サルトルびっくりの実存主義に、いずれもブロークンな日・英語がごちゃまぜの、福袋といってもいい作品。本書は中沢新一を「グル」と呼ぶ、横浜寿町の日雇い哲学者、西川紀光と人類学者のある意味、共著。ポストモダン思想に照応する三大ドヤ街の現実を語るそのリズムは、時に場違いな挿絵と写真と共にクセになりそうな依存性と刺激がある。2020/12/31
owlsoul
8
イギリスの人類学者である著者は、寿町ドヤ街のフィールドワーク中に一人の特異な人物に出会った。彼の名は西川紀光。日雇い労働者として長年ドヤに暮らしながら趣味の読書に明け暮れる男。部屋には学術書が山積みにされ、人類学者を名乗った著者に「機能主義派か構造主義派か」と問いかける。社会のバイアスを受けない一人の男が、膨大な知識をもとに構築した哲学。粗削りで差別的、陰謀論めいていながらも、それは確実に「彼の世界」を言語化している。紀光は言う。毎日あほうだんす(affordance)、与えられた今を生きるしかない、と。2025/01/04
TOMYTOMY
4
素晴らし過ぎた。ある男の一生を読んだ。 彼の求めるものと現状。どうしても折り合いをつけるしかない、その達観。宗教的な達観にも思える。2020/11/22
ogumashin
1
社会人類学者のトム・ギルが、横浜のドヤ街に生きる稀有な知識人である日雇いの哲学者と出会った話だが、よく見出してもらえたなと数奇な運命を感じた本であった。 西川紀光のような人はもしかしたら他にもいるかもしれない。しかし誰にも見出さなければ存在自体が闇に葬られるだろう。そのような人を偶然見つけて紹介してもらえて本当に良かった。ありがとう!トム・ギルさん。2024/01/22
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