感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
s_i
3
絵を見ることは他の絵との関係を見ることであり、それは絵の成立条件をなす身体を含んださまざまな要素との関係に自分を立ち上げることを意味する。中西はその過程の追体験によって絵の原理の発生を制作の内部に含ませるにあたって、人間の経験そのものの基底をなす環境以前の、物理的な環境の情報の探索以前に行われる環境の立ち上げの再現を目指した。それは世界の複数化以前の世界から世界を立ち上げる過程、つまり世界を無数の行為可能性を含んで「いない」ものとして、無数の潜在性を含まないものとして捉えている?2014/08/02
渡邊利道
1
モダニズムとアンフォルム、その前提となるリアリズムの準拠する思考の枠組を、精神分析を使って仮構し、少し離れた存在として中西の絵を見ていく。理論的読解が作品の経験によって解体されていくようで、なかなか面白かった。中西の画業の理論的言説との親和性(反サルトル的な「眼差し」論)、システマティックな思考の実践と言った部分がきちんとまとめられているベーシックな印象の中西夏之論。2016/11/02
yu-onore
0
中西は僕の形成にかなり影響を与えた芸術家の1人だったりする。オクトーバー派については、「ラカンの精神分析を基盤に〜」みたいな教科書的理解しかなかったんだけど、バタイユを援用しながら、垂直性を超え水平な方法で絵具などをラカンの言う現実界的に現前させ、象徴界的フォルムを撹乱するというクラウスのアンフォルム論にはなるほどって感じがある。それに通じる、中西の揺らぎとしての絵画、つまり身体から切り離され(現実界の去勢的)始めて見えるようになったスクリーン的な絵。2021/01/23
葵
0
「絵画の足場というのは、現実の床じゃないんですよ。かすかに浮き上がっている。」絵画場のあり方、水平面と垂直面、興味深いキーワードがたくさん散らばっていた。難しくて3回も寝落ちしたせいで読むのに3日かかったけど。2020/05/14
ムチコ
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水平と垂直、絵の正面性、「ぺらぺらの膜面」2018/11/26