感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
41
関東大震災後から東京大空襲までの浅草を様々な文人、芸人の文章を通して眺めた一冊。もし地霊というものが存在しごく希に目覚める時期があるとするならば、この時期の浅草こそがそれではないかという印象を受けた。ただ以前六区を歩いたことがあるけれども、不案内だったせいか過去を思わせるものはほとんど見受けられなかった。ただしこの作中では荷風散人や川端康成を始めとして、数多の作家が引用される様はまるでモザイクの様に生き生きとした浅草を蘇らせてくれる。読んでいると頭の中にではあるが、独特の浅草が見えてくるようである。2014/11/03