内容説明
家族ってなに?親子ってなに?日本一文学偏差値の高い親子が初めて明かした吉本家の謎の数々。「次女、真秀子」と名付けられた小さな苗木は、こうして「吉本ばなな」という花を咲かせた。初の親子対談集。
目次
父の記憶、娘の記憶。―家族対談
父は批評家、娘は小説家。―文学対談
吉本家の子として生まれて。―吉本ばななパーソナル・インタビュー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
酩酊石打刑
7
『隆明だもの』で本書が出た後、ひと月ほど家庭内冷戦状態が続いたとのこと。いったいどこがと思い再読。うむ、たしかにパート1は、お母さんとお姉さんは怒るだろうなと感じた。しかしながらいい本だ。初読時、渋谷陽一はいい仕事をしたと思った。『ロッキングオン』での渋谷のインタビューを吉本隆明が褒めていたことがあった。通常のインタビューや対談は裃を脱いでないといったような内容だったように記憶する。まさにそれの実践。ばななの作品評は「うえ~ん」と鳴き声を上げるほどの和やかな中に、本質を突いた指摘がなされ興味深かった。2025/01/08
tomonokko
6
図書館本。いつも吉本ばななの作品を読んでいて輪郭がぼんやりしていた感覚を、的確に言葉にしてもらってより理解が深まった。特に「死の使い方」について。また、「癒し」についての定義が興味深く、自分の中で彼女の作品を読みたい時とそうでない時があるのは、無意識的にそういったものを求めているかどうかなのかと納得。そういう意味では村上春樹に近いなぁと感じる。この本を読んだ上で昔の作品を読み返したくなったと同時に、最近の著作についての彼女の考えも知りたいと思う。2012/06/12
白義
6
終始『いい感じの場』を維持したまま進む好企画。吉本ばななの作品を最も鋭くえぐった批評は実は吉本隆明さんのこの対談での追及かもしれません。『好きという場』を描く作家としての吉本ばなな、関係の交換可能性など鋭い指摘の連続で、このパートは批評家と小説家の関係の一つの理想のような気すらします。家族だから真似できないけど、批評家になりたい人はみんなこれを一読した方がいいでしょう(笑) 返すにばななさんの隆明さんへの追及も鋭く、感性レベルで吉本隆明の生活思想と文学の連関を捉えていますね2011/07/29
チェアー
5
問題の書。「隆明だもの」で触れられていた「マグニチュード9」の発言がある。 書き手の渋谷陽一が、持論をぶってしまって、しっちゃかめっちゃかになっている。 ばななの小説は読んでみようかという気分になった。 2024/04/11
りっとう ゆき
5
ばなな作品が現実を現実として書かれてるんじゃなく、かと言ってふわふわファンタジーでもない、あくまで日常だけどそこにふっと魂が休める場所がある、その心地よさ、その理由がわかったような気がしたし、わたしも作品を読む、作る時はそこら辺にいたいなあと改めて。あと、オカルトまでは行かないけど、普通には説明できないけど感覚としてこうっていうのはわかるなあ。ばななさんと家庭環境は全く違うけど、家族は嫌いじゃないけど違和感あったりとか、幼稚園馴染めないけど行かなきゃいけないと思ってたその理由とか自分と通じるとこがある。→2022/12/07