出版社内容情報
この本は、241編の「ことわざ」や「たとえ」の類から成っています。しかし『悪妻盆に帰らず』という書名からお分かりのように、昔から伝わる「ことわざ」ではありません。その「ウラ」の世界がこの本の中に広がっているのです。「パロディー」だけでも「風刺」だけでもない不思議な世界が味わえます。読めば、きっと笑いと発想の転換を呼び起こしてくれるでしょう。いま、あなたの目の前に広がる現実だって、違って見えるようになるかもしれません。
3●春
35●夏
65●秋
97●冬
130●あとがき
132●索引
●事実は小説よりいきなり(事実は小説より奇なり)
「だって、いきなりだぜ」
女房に逃げられた小説家志望の友人が血の気の失せた顔で言った。
「『ただいま』って玄関開けたら、いきなり『さよなら』って出てったっきり、それっきりよ。ふつう『ただいま』って言ったら、とりあえず『お帰りなさい』だろう。何それ。たしかに、小説でも、持って廻った修飾語やくどくどしい説明なんかが多過ぎる長い文章ってえのは大抵駄作なんだけど、それにしたってこれじゃあ、あんまりにも短文過ぎるよなあ。短文どころか文章にもなってねえよ。多少の前書きを並べといてくんなきゃ何が何だか」
●自信なくなり家事親父(地震かみなり火事親父)
リストラ時代の悲劇である。
●金は万票のもと(風邪は万病のもと)
政治家の好む座右の銘。
●故郷に小錦を飾る(故郷に錦を飾る)
ハワイの或る町では、どの家に行っても、小錦のぬいぐるみが飾ってあるらしい。人形メーカーの担当者の話では、等身大のものはあまり売れていないとのことである。
●老婆は一日にして成らず(ローマは一日にして成らず)
当たり前である。
◎ここがポイント
・「ことわざ」の類のただのパロディーではありません。現代を「風刺」しただけのものでもありません。それらを含みこんで、かつてなかった世界が眼前に広がります。
・「いろはうた」や「いろはたとえ」など、優れたことば遊びの伝統のある日本。その伝統を踏まえて、詩人である著者が、日本語を駆使して、現代版のとっておきのことば遊びを展開します。
・読めば、思わず声を挙げて笑ってしまいます。気分転換に最適なのはウケあい。ひょっとしたら、正しいことわざも覚えられるかもしれません。
◎こんな人にお薦め
・人生に疲れてやる気が出にくくなっている人。
・人間関係がわずらわしくて、どこかへ逃げ出したい人。
・もっと笑いたい、でもお笑い芸人の芸は馬鹿馬鹿しいと思っている人。
・アイデアに行き詰まって、ものごとが進まず、発想の転換をしたい人。
・日本語やことばに興味があって、それをもっと磨きたいという人。
……などなど、多様な人のお役に立つかも。
内容説明
「ことわざ」のただのパロディーではなく、日本語を駆使したとっておきのことば遊び。「笑いの素」241編を収録。
目次
春
夏
秋
冬
著者等紹介
森真紀[モリマサノリ]
1950年、東京上野に生まれる。国学院大学文学部哲学科卒業。主に、ドイツ観念論を学ぶ。学びつつも興味は文学、音楽へと傾いてゆく。文学の分野では、本名のほかに、森学などの筆名で、「詩学」「詩学研究」「四季」「詩」「東京四季」「日本語の星たち」「現代詩集成」「詩・アンソロジー」などに作品を発表。作曲の分野では、ハロージャンボ音楽フェスティバル最優秀グランプリ受賞。NHK最優秀賞三度受賞、クレヨンハウス『音楽広場』賞受賞
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