内容説明
日本の住まいには、しつらいという、部屋の性格づくりの方法がありました。床の間の軸や花を選定したり、屏風や座ぶとんなどの簡単な装置をセッティングすることによって、本来無性格に近い部屋を、その時々の用途に合った空間に変えました。現在の家は、寝室、子供室、老人室、食事室というように、新築された時から、部屋の用途が決定されています。各室が個性化された現代の住まいは、快適さが増したものの、かつての住まいにあった有機性や自在さや、やさしさが欠落しています。ここで日本の伝統の住み方を検討してみることは決して無駄なことではありません。
目次
第1章 生活姿勢と家庭内文化
第2章 室礼と振舞
第3章 室内空間―形と色と素材
第4章 団らん空間
第5章 接待空間