内容説明
「肯定と否定、疑惑と仮定、希望と失望で織りなされたこの半世紀は、今日ひとつの回答に帰結している。その回答は望まれたものなのだろうか。応であり否である。わたしは全体主義的共産主義の倒壊や民主主義の勝利を目のあたりにするという好運を経験した。しかし、歴史とはびっくり箱のようなもので、わたしたちは今日、過去において不和の原因であった、交戦も辞さないナショナリズムへの後退に直面しているのだ。」ノーベル賞作家、オクタビオ・パスが激動の時代を見据え、わたしたちに残された選択肢と可能性を洞察した政治論集。邦訳にあたって、1992年11月発表の最新インタビューを収録。
目次
古き問いへの新たな回答
弁明の覚え書き(あるシステムの終焉;帝国の終焉?;アメリカ―共同体か領地か?;パナマそしてもうひとつのパレンゲ;メヒコ―近代性と伝統;メヒコ―近代性とパトリモニアリスモ)
対談集(対話と騒音;証の場;風の刃のなかに;寄り道;わたしを読みとくもの;自由の夜明け)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご singoito2
9
「孤独の迷宮」が面白かったので。本書は80年代終わり、ゴルバチョフとかワレサの時代のエッセイや対談集で政治的なテーマも多いけれど、時代ズレの印象はなくて、むしろメキシコやロシアの革命、スペイン内戦をリアルタイムで駆け抜けたパスならではの21世紀へのメッセージのような印象でした。山本哲士、阿波弓夫によるインタヴューも日本やインドでの滞在などを語っていて興味深かったです。2025/02/18
うさこ
1
何度読んでもパスの非常にしっかりした、しかし至ってまともな思想があちこちに、その詩人らしい語りで綴られている。デリダについては、溜飲が下がり、さすがパスだと思った。 原書は読みたいとおもってもまだ読んでいないが。2013/05/10
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