内容説明
本書は、ブルデューが行なった、フランスの研究者やとりわけ外国の研究者との非常に長い会談、また民族学者・経済学者・社会学者(芸術・宗教・文学等々についての)などの専門家グループとの学問的対決を集めて一書となしたものである。これらを通してブルデューは、自身を語る。自身の業績の誤解されている側面を、自身の研究の哲学的前提を、自身の探究の具体的ロジックを明らかにする。と同時に、自身に対する反論の中で代表的な反論に論駁を加える。
目次
1 道程(哲学のフィールドワーク;目印)
2 対決(規則から戦略へ;コード化;信仰の社会学者と社会学者の信仰;客観化する主体を客観化する;宗教的なるものの拡散;社会学者の利害;読むこと、読み手、文人、文学)
3 開放(社会的空間と象徴権力;知識人界―独特の世界;「民衆」の用途;権限委託と政治的物神崇拝;スポーツ社会学のための計画表;世論調査、学者なき「科学」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
10
構造主義に対する違和感からその前提となる哲学をフィールドワークするように自らの戦略を練る著者は、大学人的な学から距離を置きながら、社会と個人の関係に踏み入る。本書はその道程をインタビュー形式で読者に伝える。身体技法を調査する際モースが用いたハビトゥス概念を身体の効率を調整する機能と捉える著者は、人の行動をすでに確立した主体が様々な可能性から選択するのではなく、個々が育ち経験した習慣を通して選択するとした。ハビトゥスを通して構造を発生の側から捉え直すと、合理性に従わない人の行動と多様な社会の動きが見える。2024/05/09
★★★★★
3
インタビューや講演など、ブルデューが口頭で述べたものをまとめた本。(彼の論文に比べると)非常にわかりやすくて感動しました。目指すところは、主観と客観(あるいは主体と構造、個人と社会)といった理論の対立を乗り越えることと、「客観的な立場」を客観化するということですね。口述なのにいろいろ予防線張ってあるのは、さすがといったところ。2010/10/03