内容説明
「ソ連邦は今や存在しない」。「ゴルバチョフの悲劇は、民族のエネルギーに気づくのがあまりにも遅すぎたことだ」21世紀のソ連の未来を予言した大ベストセラーの完訳。
目次
第3部 連邦制度の終焉(「二重権力」;主権から独立へ;ロシア対ソ連)
第4部 帝国以後(連邦から〈共同の家〉へ;新しい民族―難民;民族と民主主義の対立か、それとも共存か)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
6
下巻は、ソ連の民族問題ではトップランナーだったバルト三国の動きを中心に、ソ連の体制が形骸化していく過程を見る。人口では僅か600万人程度に過ぎないバルト三国は、経済力や人材の豊富さでソ連の中では群を抜いており、何よりも戦間期の約20年間に独立していた歴史的経験値もアドバンテージだった。環境、文化保護といった非政治分野の運動を「非公式組織」と当局に認めさせ、そこから拡大して広範囲な立場の人達を糾合する運動体である「人民戦線」方式の政治運動は、他の共和国の模範となった。ソ連が何故呆気なく崩壊したのかわかる。2023/03/27