感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えんど
6
面白い分析ですね〜。家族療法の話は教育論にもつながりそうだった。しかし、4章は飛躍しす感があった2021/06/06
Bevel
2
意図をもって行為したらその意図の反対が実現してしまう。そういう事例が個人にも社会にも見られるということで意識してない研究史を掘っていて面白かった。ベイトソン以降のダブル・バインド解釈史もよい感じ。議論の方向としては、「「行為の意図せざる結果」は、「自由」と「平等」という近代社会の理念が引き起こす「不器用さ」の現象形態」(125)とし、これを社会学そのものにも誇張的に適用して、浅田的な他者の誘惑に行きたかったということのよう。自由と平等の定式は適当と感じるけど、日本のポストモダンの良い部分を示す本だなと。2022/11/03
天婦羅★三杯酢
1
悩みがあって眠れない時「悩まないで早く寝よう」と努力すればするほど眠れずに、やがて起きねばならないときようやく眠気が訪れる。人にはよくありがちな話ではあるけど、そういうものを「行為の意図せざる結果」と名付けることによって、それが社会に遍くある現象であり、さらに近代社会や社会学という営為そのものの本質からくるものであることを論じている。むしろ「論ずる」という事が、論者を対象から見え無くされた、隔離された透明人間と考える考え方に基づいているが、論じたり観察する事そのものが対象に対する働きかけであるということ。2019/06/11
とみた
1
ある行為がその行為の意図の達成を拒むという行為の意図せざる結果とその病理的な反復である悪循環をテーマにした本。ホーソン実験を例に透明人間的観察にも行為の意図せざる結果が生じることを述べ、観察自体が周りに影響することを考慮する観察=行為者になれと語る。一方、家族療法をもとに治療戦略――症状をもっとひどくするようなユーモアな命令に述べる――をとって悪循環を生み出す行為の意図せざる結果を別の行為の意図せざる結果によって解消することを提案している。このことは後期クイーン問題にもあてはまるのではないかと思いついた。2014/03/19
yanagi_akira
0
寝ようと思えば思うほど余計寝れなくなってしまう事から、社会学者の「客観的な」観察によって起こる社会的影響まで、問題を解決しようと行動をすればするほど悪循環を引き起こしてしまう事例について指摘した書。2013/01/02