内容説明
本書は、ホメロスの作と伝えられるこの英雄叙事詩が口誦詩であり、文字の助けなしに創作されたという視点でつらぬかれている。さらに、口誦詩には文脈上の撞着が避けられないという従来からの主張に反論し、『オデュッセイア』に一貫して流れる統一的構想や思想を筋の展開に即して明らかにする。古代ギリシア人に子ども時期から広く親しまれていた『イリアス』『オデュッセイア』の分析をとおして、われわれは彼らの生の秩序や世界観を知ることができるだろう。
目次
1. トロイアに関する叙事詩
2. ギリシアの口誦詩
3. 『オデュッセイア』の思想
4. 『オデュッセイア』の解釈