感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gummo
25
原題は「Rose Blanche」。「世界・平和の絵本シリーズ」第2巻。絵は『百年の家』のロベルト・イノセンティ。ドイツの小さな町に住む少女ローズは、ある日男の子が捕まえられて車に乗せられるのを目撃する。後をつけてみるとそこはユダヤ人の強制収容所だった…。ナチの旗を振る普通の軍国少女だったローズが、ユダヤの子供たちが置かれている窮状を目の当たりにして、良心的行動を起こす姿が感動的。結末があまりに悲しすぎるけれど、異常さや残酷さが支配する戦時下における、善なる心の純粋な発露を描いた秀作である。★★★★☆2014/03/16
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
16
世界・平和の絵本シリーズ。突然大勢の人がトラックに乗せられ軍隊に動員された。戦争が始まったのだ。ある日ブランチュは、トラックで連れ去られた少年を追うと、そこはユダヤ人収容所。お腹をすかせた子どもたちのために、自分の食事を切り詰め食べものを運ぶようになるブランチュ。けれどまたある日、ブランチュが収容所に行くと、跡形もなく消えていました…。2019/06/27
Cinejazz
10
私の名はローズ・ブランチュ,ドイツの小さな町にお母さんと住んでいます。冬が始まる頃、大勢の兵隊さんを乗せたトラックが次々と通り過ぎるのを眺めていると、一人の男の子が走って逃げだしたところを、ナチ党の腕章をつけた市長さんが、男のえり首を捕まえて兵隊さんに引き渡すのを見ました。私は男の子が何処へ連れていかれたのか知りたくて、町の境界をすぎ、野原や森の方へ追いかけました。突然目の前に、電気の流れる鉄条網に囲まれた建物の前でお腹を空かせた子供たちが立ちすくむ姿が現れたのでした。ローズの献身と悲しい結末の物語です。2021/07/16
くるた
5
ヒトラー政権下のユダヤ人迫害を、ユダヤ人ではない女の子目線で描いた本。主人公のローズ・ブランチュは、なぜ突然人々が町から連れ去られるのか、事情をわかってないんですよね。ただ単純に、隔離されている人たちに食べ物を分けてあげたい一心で森の中のゲットーに通うようになります。そこから文体が一人称から三人称に変わり、ローズの心の中を読者側が汲みとる仕組みに。最後は悲劇的すぎて、普段の読み聞かせにはちょっとどうかなぁ。戦争をテーマにした会なら、聞き手にそれぞれの考えを促すのにいい本だと思います。2014/11/06
星落秋風五丈原
3
ロベルト・イノセンティ絵。ロニー・アレキサンダー&岩倉務訳。戦争中のドイツの小さな町に住む少女ローズ・ブランチェは捕らえられた人々にこっそり食べ物を運び続けた。少女が殺されてしまうラストシーン。2006/08/06
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- 和書
- 淳和院正子