出版社内容情報
《内容》 ■本書は,人体の運動に関心をもっている人体の運動科学やスポーツ科学,バイオメカニクス,運動制御,運動生理学,生体医工学,人間工学,理学療法・作業療法のような学際領域の方々のために企画した.■スポーツ科学はわが国においても高い関心を集めている.とくに,バイオメカニクスと呼ばれる分野は,一流競技者の動作分析から加齢による関節変形やその影響など幅広い研究対象に応用されているが,その基本から応用・実践までの教育は,それが学際領域である特性からか容易ではない.■本書は人体の動きを分析するために必要な手法,つまり運動学の基本概念に必要な数学,物理学 (力学),解剖学 (関節・骨の形態,基本構造) を解説しながら実際の運動の分析,さらには運動の制御にかかわる中枢神経系の処理についてまで述べられている.■また第5章の各関節ごとの運動学は,実際に運動器の研究に携わるスポーツ科学,整形外科学などの研究者にとって各部位の運動学的分析に実践的な示唆を与えるものである.■本書では,前半の運動幾何学・微分運動学および関節の幾何学・運動学の項目では,理解に時間を要する部分もあるが,人間の動作,その本体である関節運動を科学的に分析するために必要な数学・力学の理解の必要性は逆に読者に挑戦意欲を沸き立たせ,また臨床現場にいる読者には懐かしさと新鮮さを感じさせるに相違ない. 《目次》 主要目次第1章 人体の動きの運動幾何学:身体の位置と変位1.1 物体の所在を定義する/座標法・デカルト座標系と斜交座標系1.2 物体の方向を定義する/剛体に局所座標系を設定する・人体に身体座標系を設定する・身体の方向を定義する間接法・「身体の回転」とは何か・位置と変位の記載・さまざまな角度規約の利点と欠点・実験記録から物体の位置を決定する1.3 人間の運動の3次元表示/眼球運動・眼球の方向・人間の眼球が実際に行う動き (ドンデルスの法則・リスティングの法則)・回転平面:頭部や上肢の方向づけ運動を支配する法則第2章 人体の動作の運動幾何学:姿勢2.1 関節肢位 (関節のとる形)/工学座標系と身体座標系・臨床座標系・球面表示・分節座標系・関節回転規約2.2 運動連鎖/自由度・運動連鎖の可動性・開放性運動連鎖:最終効果器の可動性・人体の運動学的モデルと可動性・人間の運動の拘束条件・運動連鎖の位置分析2.3 運動学問題の生物学的な解答/身体外空間の内部表現・姿勢の内部表現第3章 身体運動の微分運動学3.1 運動連鎖の速度/平面運動・3次元動作3.2 運動連鎖の加速度/平面的2軸連鎖の加速度・3次元における2軸連鎖の加速度・多軸連鎖の加速度・ジャークとスナップ3.3 微分運動学の問題に対する生物学的解法:運動速度の制御/アプローチ (接近) の制御:タウ仮説・伸長動作における速度の制御第4章 関節の幾何学と運動学4.1 関節包内の運動学/関節面と関節の種類・関節面の運動・関節包内運動の幾何学と代数学・靱帯と関節運動:力学的連結としての関節4.2 回転中心と回転軸/平面上の関節運動・関節の3次元運動第5章 個々の関節の運動学5.1 仮想関節軸5.2 足部の運動学/中足趾節関節:2つの速度を生み出す足部・中足部の関節5.3 足関節複合体/距腿関節・距骨下関節5.4 膝関節/脛骨大腿関節・膝蓋大腿関節5.5 股関節と骨盤帯5.6 脊柱/癒合関節における運動・腰椎と胸椎・頚部:頭頚部の運動・胸郭5.7 肩関節複合体/個々の関節について・肩関節複合体の運動:肩甲上腕リズム5.8 肘関節複合体/屈曲と伸展・回外と回内5.9 手関節5.10 手部の関節/母指の関節・手指の関節5.11 顎関節用語解説
内容説明
本書は人体の運動を分析するために必要な手法、つまり運動学の基本概念に必要な数学、物理学(力学)、そして解剖学(関節・骨の形態、基本構造)を解説しながら実際の運動の分析、さらには運動の制御にかかわる中枢神経系の処理についてまで述べたものである。
目次
第1章 人体の動きの運動幾何学:身体の位置と変位
第2章 人体の動作の運動幾何学:姿勢
第3章 身体運動の微分運動学
第4章 関節の幾何学と運動学
第5章 個々の関節の運動学