内容説明
悪名高き水野忠邦の奢侈禁止令に真っ向から逆らった料理人の心意気。握り千両、江戸前鮨を完成させた男の波瀾の一代記。爛熟の江戸を舞台にした冒険ミステリー。
著者等紹介
馬場啓一[ババケイイチ]
作家・エッセイスト・評論家。1948年生まれ。早稲田大学法学部卒業。流通経済大学非常勤講師。日本シガー愛好家協会会長。スイングジャーナル・ジャズディスク大賞選考委員。HBA(日本ホテルバーメンズ協会)カクテルコンテスト審査員。素鳩の俳号を持ち、馬東句会を主宰する俳人でもある
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさみつ
2
いわゆる『握り寿司』を作った最初の人物、今は某レストランチェーンの名前としてしか知られていない華屋与兵衛の生涯を描いた作品。はっきり言って『謎』はないのでこの副題は無用。いらないエピソードも多く、それがなければもっと楽しめたんだけどなぁ。しかし家族を疫病で全て亡くし、江戸で乞食のように暮らす少年が、味覚に対する非凡なセンスで徐々に料理人としての才能に目覚めていく過程。そして物語終盤の幕府の禁奢侈政策に、江戸っ子として料理人として叛旗を翻す『千両寿司』のくだりは一読の価値有です。2010/05/26
matsu0310
0
☆☆狙いどころは良いけど、ネタが足りない感じだなぁ。名が知れる前までは創作で埋めてるんだろうけど、それが妙に半端な恩讐譚っぽくって、、、どうなん?2011/08/08
アヴィ
0
現代に繋がる握り寿司の考案者として伝わる江戸な寿司職人。江戸時代の市井の人物であり、確かな記録が豊富にあるわけではないであろうことは間違いない。前半生については流行病で家族全てを失った以外は作者の創作だろうが、それなりに読まされる。寿司店を開業して繁盛してからは、娘に教育を受けさせ、読み書きそろばんがほとんど駄目な自分の代わりを任せるところは、身分制度への思いと成り上がり商人の意気地を感じる。幕府の倹約令への反骨もそういうところから来ているんじゃないかと2024/11/10