内容説明
近世からの系譜や「血筋」でいくらかんがえても、部落差別とは何かはわからない。被差別部落は、近世賎民の軍事力を明治国家が解体したことにはじまる。近代資本主義成立の過程で、産業予備軍の供給地として、あらたに形成された被差別部落。大反響を呼んだ前著『被差別部落の真実』の著者が、差別的俗説と無理解を撃つ、第2弾!!
目次
プロローグ 部落差別とは?
1章 被差別部落の境界
2章 だれが被差別部落民となったのか
3章 近代と部落差別
4章 戸籍制度と部落差別
5章 カミングアウトとアウティング―部落出身を名乗ること
6章 現代の融和主義―「同和はこわい考」批判
著者等紹介
小早川明良[コバヤカワアキラ]
特定非営利法人社会理論・動態研究所理事・研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
3
部落差別が売れ筋商品であることを示すトピック。法務省が封印した壬申戸籍がネットオークションで落札された2019年の事件がある。壬申戸籍とは1871年の戸籍法に基づいてその2年後に編成されたもの。元穢多や新平民などの賤称が記載されていた。この戸籍は1968年に法務局で封印されたが、その後もアクセスして編製されビジネスに利用されている。それを悪用するのが探偵業者だが、彼らは行政書士に依頼して戸籍謄本を不正に所得。1通につき3万円程度の手数料を取っていた。企業側には根強いニーズがあることがわかる。2023/09/15
U-Tchallenge
1
部落差別について理解しようと思うと歴史的なものを理解することは必要だろう。しかし、それだけでは足りないように思う。本書で書かれているように近代になり資本主義の中の部落差別というものがあるように思う。この近代的な部落差別とでも言うべきものを理解しないと部落差別を理解することにはならないように思った。そんなことを改めて考えることができた。2023/12/01
owl&shepherd
1
ちょうどダリット女性だけで運営するインドの新聞社を描いたドキュメンタリー『燃え上がる女性記者たち』を見たばかり。「ダリット」と「女性」で二重の偏見に生き生きと抗う彼女たちのバイタリティにショックを受けた。本書はインタビュー形式で最初は著者の受け答えがいささか傲慢に感じたが、読み進むにつれて納得させてくれる。自分でも好奇心旺盛だと思う。なかでも、自分の無知からくる先入観、偏見をぶっ壊されるのが快感。知るのに遅すぎるということはない。2023/10/12
U-Tchallenge
1
前作を読んでいたので、見つけた時には思わず手が伸びた一冊。平易な文章で被差別部落についての考え等が書かれている。前作と合わせて読んでもらいたい一冊である。戸籍やカミングアウトとアウティングという、現代では大きな課題になっているものに言及されている。現代の部落差別を考えるには避けて通れないところであるだろう。多くの人に是非とも手に取ってみてもらいたい一冊であった。2022/07/29