内容説明
官僚は国民を、無知蒙昧な有象無象とかんがえている。その有象無象によって選ばれたのが政治家だと思っている。だから、国家を支配するのは自分たち偏差値エリートであるべき、と信じている。そして官僚は、みずからの延命のためには、国民の生命も安全も切り捨て、暴走する。官僚生成の歴史と内在論理を、初めて明らかにする。
目次
第1部 いまそこにいる官僚階級―イエス、マルクス、『久米島史話』に潜む「奴ら」(階級というイメージ;『資本論』と『聖書』;国家が「救い」に介入するとき ほか)
第2部 官僚と闘う技法―公共圏のイデオローグ、ハーバーマスとバルトから学ぶ(公共圏の誕生;国家と公共圏のせめぎあい;公共圏のイデオローグ―発信する神学者バルト ほか)
第3部 官僚階級のゲームのルール―柄谷行人をてがかりに(『トランスクリティーク』で読み解く官僚階級;民主主義はフィクションで成り立つ;官僚階級のゲームのルール ほか)
著者等紹介
佐藤優[サトウマサル] 
作家・元外務省主任分析官。1960年生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務後、対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害罪で東京地検特捜部に逮捕・起訴され、09年執行猶予付き有罪判決が確定し、刑の言い渡しが効力を失った(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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  - 評価
 
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
15
          
            本書は国家=官僚機構の本質を暴くものである。言わば氏の著書『国家論』において語られた国家の暴走を阻むものは社会団体である、との主張の前段階にあたる。国家=官僚制の本質は暴力であり、官僚は社会の外部に位置し社会から徴税の形で収奪した富によって生活する。官僚制と資本主義との関係をマルクス、柄谷行人の著作を導に分析していく。筆者はグローバル化、新自由主義に伴う新帝国主義のなかに官僚が蠢いていると見ている。その動きに対して知識人が有効な理論的枠組みを示し、最悪の事態を防ぐ、ソフトランディングさせることを求める。2015/11/09
          
        Miyako Hongo
13
          
            佐藤優ファンは必読(笑)。沖縄・神学・マルクス・官僚と、この人のルーツてんこ盛りのアツい本。□民主主義が民衆の意見を反映しないという主張は目からウロコでございました。確かに無記名投票って、否応なく”みんなの代表”になる問題があるな、と。劇場型政治って、みんなが豊かになったから発生したと思ってたけど、ナポレオン時代からあったのね。□皇帝一人で国が治められる訳がないから、王政とか帝政は官僚制という理解だけど、民主主義もそれなんだなあとげんなり。しかも議員には選挙民の意をくむ義務はないときた。たまらんなぁ。2016/02/27
          
        Happy Like a Honeybee
10
          
            恣意的な正義を行使する官僚の存在。農地改革、財閥解体を断行したGHQですら僅かな変化しか成し得なかった中央省庁。代表する者、代表される者の断絶性とボナパルティズム的現実。 小沢一郎を巡り政治家官僚との駆け引きが興味深い。福祉切り捨てなど、官僚階級の暴走に警鐘を鳴らす一冊。2015/12/26
          
        羊山羊
5
          
            思っていた内容と違った感。どちらかというと国家とそれ以外の共同体をドイツ由来の近代哲学をベースに語っていくという本。これ自体は、佐藤氏のドイツ哲学×国家論の総論といった感じで参考になりそう。図書館本なので、この本ないし類書を本屋見つけたら確保しておきたい2018/12/10
          
        がんぞ
3
          
            シンプルに考えれば。出生率が低迷して、一生童貞やシングルマザーが多いのは《労働力再生産を維持できない》窮乏化なのである。こんな政府が存続なのは情報操作されている/鳩山首相は公約実現に精一杯やったが官僚の非協力で潰された/後半は柄谷行人『トランスクリティーク』に沿って民主主義が無責任な独裁となるプロセスを解明していく/公明党が合意の際、防衛関連法案に様々な地雷を埋め込んだから、自衛隊の海外派遣は困難だろう…創価を彼の新規顧客にする狙いか/右翼がヘイトなど水準が低いのは左翼の理論が人権主義を出ず未成熟だからだ2020/02/15
          
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            - 和書
 
 - 日本地主制史研究
 


              

