出版社内容情報
《内容》 序 編集者 杉本 侃 本著のもとになったのは、武田薬品工業株式会社から出版されてきた「目でみる救命救急処置」である。昭和60年に刊行した「目でみる救命救急処置」は初版から好評を得て、かくれたベストセラーとなり毎年1万部あまりの発行を続けてきた。その間、英語と中国語にも翻訳され、世界的にも広く読者を得るに至った。しかし非売品であったため、一般への流通に問題があり、多くの方々にご迷惑をかけてきた。今回、幸いにも日本臨牀社が出版権を円満に引き継いでくれることになり、ここに広く市場へ刊行されることになった。著者一同大きな喜びとするところである。 本著は絵を中心に視覚的な解説を行ってきたが、単なる初歩的な入門書ではない。編集の基本方針は初版刊行以来、終始一貫して、最新の救急医学に基づいて、最高の治療法を紹介することにある。したがって目まぐるしい医学の進歩に対応して、毎年のように改訂を重ねてきた。本著のそもそもの起源は、昭和47年に故恩地 裕教授(元大阪大学名誉教授、香川医科大学副学長)と私の共著による「目でみる救急処置」である。「目でみる救命救急処置」は、それを引き継いで昭和60年に、新しく刊行されたものである。その版もまた平成7年には、著者の多くが新進気鋭の方々と交代し、ほぼ一年をかけて全面改定を行ったところである。今回は全面改定後まだ2年であるが、この2年の間に、救急医療の分野では驚くべき重大事件が多発した。阪神大震災を皮切りにオウム教団によるサリン事件、0-157による集団食中毒事件と、すべて医学的にも重要な事件ばかりであった。そこでこの機会に、これらの知見をすべて取り入れ再度の大改訂を行った次第である。非売品の立場を脱却した本著「新訂 目でみる救命救急処置」が、今まで以上に多数の読者を得て、日本の救急医療の発展に寄与することを願ってやまない次第である。 平成9年2月 《目次》 目で見る救命救急処置(Emergency Medical Illustrated) 目次A.蘇生法 1.器具を用いない気道確保(澁谷正徳)松戸市立病院-救急部 2.器具を用いた気道確保(澁谷正徳) 3.人工呼吸(澁谷正徳) 4.胸骨圧迫心マッサージ(嶋津岳士)大阪大学医学部-救急医学 5.脳死(杉本 侃)大阪大学名誉教授 6.DOA(来院時心停止)(入野忠芳)大阪大学医学部-特殊救急部B.Critical Careの基本手技 1.気管内挿管(澁谷正徳)松戸市立病院-救急部 2.緊急電気的除細動と前胸部叩打(嶋津岳士)大阪大学医学部-救急医学 3.静脈路の確保(嶋津岳士) 4.輸液-輸血(嶋津岳士) 5.ベンチレータの使い方(嶋津岳士) 6.救急蘇生法に用いる薬品(嶋津岳士) 7.モニター(嶋津岳士)C.事故 1.窒息(澁谷正徳)松戸市立病院・救急部 2.異物(鵜飼 卓)大阪市立総合医療センター-救命救急センター 3.熱中症(鵜飼 卓) 4.熱傷 1)熱と生体(杉本 侃)大阪大学名誉教授 2)熱傷の深度(杉本 侃) 3)熱傷の範囲(杉本 侃) 4)熱傷の局所療法(杉本 侃) 5)皮膚移植とスキンバンク(杉本 侃) 6)熱傷の種々の輸液療法(杉本 侃) 5.凍傷と低体温(杉本 侃) 6.薬物ショックと麻酔薬事故(嶋津岳士)大阪大学医学部-救急医学D.ショックと合併症 1.ショックの病態(杉本 侃)大阪大学名誉教授 2.ショックと臓器 1)ショック腎(杉本 侃) 2)ショック肺(ARDS)(杉本 侃) 3)ストレス潰瘍(房本英之)東大阪市立中央病院E.中毒 1.中毒の診断と一般的処置(鵜飼 卓)大阪市立総合医療センター-救命救急センター 2.血液浄化法(鵜飼 卓) 3.医薬品中毒(鵜飼 卓) 4.有毒ガス中毒(鵜飼 卓) 5.化学兵器(鵜飼 卓) 6.農薬中毒(鵜飼 卓) 7.工業薬品などによる中毒(鵜飼 卓) 8.動・植物による中毒(鵜飼 卓) 9.細菌性食中毒(鵜飼 卓) 10.その他の中毒(鵜飼 卓)F.感染 1.医療従事者の感染予防(藤井千穂)川崎医科大学-救急医学 2 2.院内感染-とくにMRSAについて-(藤井千穂) 3.重症感染症とSIRS(杉本 侃)大阪大学名誉教授 4.輸入感染症(鵜飼 卓)大阪市立総合医療センター-救命救急センターG.急病 1.急性腹症 1)腹部の疼痛 (杉本 侃)大阪大学名誉教授 2)腹腔内臓器の炎症(1)(吉岡伴樹)松戸市立病院-救急部 腹腔内臓器の炎症(2)(吉岡伴樹) 3)イレウス-腸閉塞(吉岡伴樹)松戸市立病院-救急部 4)消化管出血(1)(房本英之)東大阪市立中央病院 消化管出血(2)(房本英之) 消化管出血(3)(房本英之) 2.意識障害疾患 1)意識障害(渋谷正徳)松戸市立病院-救急部 2)脳卒中(1)(渋谷正徳) 脳卒中(2)(渋谷正徳) 3)脳卒中の予後(渋谷正徳) 4)肝性昏睡(房本英之)大阪市立中央病院 5)糖尿病性昏睡および低血糖性昏睡(渋谷正徳)松戸市立病院-救急部 3.気管支喘息(渋谷正徳) 4.循環系の緊急症 1)虚血性心疾患(渋谷正徳) 2)不整脈(渋谷正徳) 3)急性心不全(渋谷正徳) 4)解離性胸部大動脈瘤(渋谷正徳) 5.尿毒症(上田尚彦)奈良先端科学技術大学院-保健管理センター 6.小児の痙攣(三牧孝至)岐阜大学教育学部-障害児教育講座H.外傷 1.頭部外傷 1)その特殊性(杉本 侃)大阪大学名誉教授 2)頭皮と頭蓋骨の損傷(杉本 侃) 3)脳の損傷と意識(杉本 侃) 4)頭蓋内血腫(杉本 侃) 5)頭蓋内血腫とCTスキャン(杉本 侃) 6)頭部外傷とMRI(杉本 侃) 2.胸部外傷 1)呼吸と循環の障害(杉本 侃) 2)肋骨骨折(杉本 侃)大阪大学名誉教授 3)胸腔異常:血胸と気胸(杉本 侃) 4)肺挫傷(杉本 侃) 5)肺の損傷とwet lung syndrome(杉本 侃) 3.腹部外傷 1)出血と腹膜炎(杉本 侃) 2)診断と救急処置(杉本 侃) 4.脊椎の外傷 1)受傷機転と救急搬送(藤原桂樹)星ヶ丘厚生年金病院-整形外科 2)診断と救急処置(藤原桂樹) 3)初期治療(藤原桂樹) 4)鞭打ち損傷、骨粗鬆症による椎体骨折(藤原桂樹) 5.骨盤骨折(田畑 孝)大阪府立泉州救命救急センター 6.四肢の骨折 1)整復、固定、牽引(政田和洋)大阪府立看護大学医療技術短期大学部-理学療法科 2)開放骨折、創外固定(政田和洋) 3)合併症(政田和洋) 7.手指の外傷 1)指尖部損傷、屈筋腱損傷、切断指(政田和洋) 8.多発外傷(杉本 侃)大阪大学名誉教授 9.クラッシュ症候群(杉本 侃) 10.創の一般的処置 1)止血(杉本 侃) 2)感染の防止(杉本 侃)I.集団災害 1.集団災害への備え(鵜飼 卓)大阪市立総合医療センター-救命救急センター 2.集団災害救護活動(鵜飼 卓) 3.阪神/淡路大震災(鵜飼 卓) (以上)
内容説明
本書は絵を中心に視覚的な解説を行ってきたが、単なる初歩的な入門書ではなく、最新の救急医学に基づいて、最高の治療法を紹介する。
目次
1 蘇生法
2 Critical Careの基本手技
3 事故
4 ショックと合併症
5 中毒
6 感染
7 急病
8 外傷
9 集団災害