出版社内容情報
アンデルセン童話。雪のふる大みそか。ひとりの小さな女の子が、ぼうしもかぶらず、はだしでマッチを売り歩います。その日は誰も買ってくれません。おなかをすかせ、体のしんまでこごえ、疲れきっていました。女の子は思いきってマッチを擦り火をつけます。すると目の前にストーブがあらわれますが、マッチの火と同じ、すぐに消えてしまいます。その次もその次も。そうしてまたマッチを一本擦ったとき、たった一人、女の子をかわいがってくれたおばあさんがあらわれます。「おばあちゃん!」女の子はマッチ全部に火をつけました。おばあさんが消えてしまわないように。おばあさんは両手で女の子をだきあげ、二人は高く高くまいあがりました。(編集企画室 U・A)
およそ8~9才から
内容説明
身をきられるように寒く、暗い、雪のふりしきる街を、ひとりの小さな女の子が歩いていました。足ははだしで、すりきれたエプロンには、マッチのたばをかかえながら。その日、一日じゅう、だれもマッチを買ってくれませんでしたので、家へ帰るわけにもいきません。女の子は、おなかをすかせ、こごえそうになりながら、とうとう、通りの家の壁のくぼみに、すわりこんでしまいました。そして、寒さに耐えかねてすった炎の中に、女の子が見たものは…。名高く、哀切にみちたアンデルセンの『マッチうりの女の子』を、アンデルセンと同じ国の画家スベン・オットーが、冬のデンマークの街の情感を背景に、格調高く描きます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nana
77
子供と一緒に。2020/05/09
西野友章
44
絶望的な話だった。うわべだけをなぞると、ただ単に幻覚を見て死んでいく少女の話だが、その奥に作者の嘆きを感じた。暖かい部屋の中で、笑顔の家族に囲まれながら、飾られたクリスマスツリーの前で、七面鳥などのごちそうを食べることと、大晦日の夜、寒さに震えながら、暴力的な父親に怯え、空腹の中で誰も買ってくれないマッチを全部すって、大好きなおばあちゃんの幻覚を見ながら凍死する少女と、どっちがどうなんだということは比較のしようもない。 2018/12/15
kiisuke
40
冬が近づくと必ずよみたくなる、子どもたちも私も大好きな一冊。雪のなかでひとり静かに寒さに耐えながら……という寂しいはずのストーリーなのになぜかとても暖かく幸せな読後感が残ります。絵にも暖かみが感じられるからでしょうか。マッチを擦るたびに現れる夢の世界と現実の世界の繰り返しが何だか心地よく感じられます。子どもの頃は、かわいそうな女の子のお話だと思っていましたが、いま読むとハッピーエンド、実はとても幸せなお話だったんだなぁと思いました。2015/11/14
小夜風
28
【図書館】何度読んでも…どの挿し絵のものを読んでも…必ず泣けてしまう。アンデルセンと同郷のスベン・オットーさんのこの絵本は、降りしきる雪が本当に寒そうで、凍える女の子の辛さが伝わってきます。おばあさんに包まれて天に昇っていく時の女の子は、どれ程ホッとしてどれ程幸せだったろうと思い…また涙がこぼれてしまうのです。2015/03/23
greenish 🌿
26
寒く暗い雪の降りしきる街を1人の女の子が歩いていました。足は裸足で、擦り切れたエプロンにはマッチの束を抱えて。寒さに耐えかねてすった炎の中に、女の子が見たものは… ---軽井沢・絵本の森美術館にて読了。 あまりにも有名な物語ですが、アンデルセンと同郷の画家スベン・オットーが描く荘厳な冬の情景が、女の子の孤独も寂寥も憧憬も、そして安堵も、儚げに美しく描き出しています。切ないけれど、炎の向こうに見た祖母の姿。優しく手を引かれて旅立てたのですね。2014/07/17
-
- 電子書籍
- レベル9の閲覧要員45 ROCKETO…