内容説明
大国間競争は世界を「分断」に導くのか。先鋭化する米中競争、侵略するロシア、流動化する地域秩序―交錯する大国と地域の論理。分断への岐路に立つ世界の今を、安全保障研究のフロントランナーがあぶり出す!
目次
序章 大国間競争のダイナミズム
第1部 米中戦略的競争とロシア・ファクター(中国の国際秩序構想と大国間競争―自信と不満が交錯する「大国外交」;米国と対中競争―固定化される強硬姿勢;ロシアの古典的な大国構想―遠のく「勢力圏」)
第2部 大国間競争のなかの地域秩序(ASEAN「の中立」―米中対立下のサバイバル戦略;大国間競争のなかの豪州―同盟と地域の狭間で;大国間競争下の南アジア―米中競争時代の到来と「対テロ戦争」の残滓;戦略的競争における欧州―国際秩序と地域秩序の相克)
著者等紹介
増田雅之[マスダマサユキ]
防衛研究所政治・法制研究室長。専門分野:現代中国論(外交・安全保障)、国際関係(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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日・月
6
防衛研究所政治・法制研究室長の増田雅之が研究室所属の9名の論文を編集したもの。テレビでの解説は分かりやすかったのですが、論文はやはり難しかったです。中東と中国、中国とアメリカのパワーバランス論に始まり、そのもとでのASEAN諸国やインド、オーストラリアの立ち位置を論じています。ロシアは目指す大国政治の目標から遠のいているようですが、ロシアの国力低下と周囲への不安的要素の量は比例しないと思われます。当然、来年春の大統領選関連にも注目したいところです。2023/12/07
tyaro
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米中間対立に関する分析だけでなく、その対立の間で重要なステークホルダとなるロシア、オーストラリア、南アジア(インド・パキスタン)、東南アジア(ASEAN)の対応についても分析されている。特に面白かったのがオーストラリアの部分。西欧的な文化背景を持ちつつも、地理的にはアジアに位置する特殊な国であるという視点での分析が新鮮であった。確かに、日本もイデオロギーとしては西欧に近いものがありつつ、地理的にはアジアに位置するという意味で似た立場にある。両国が協調関係を築こうと動いている理由がよく分かった。2025/03/30