内容説明
混沌の現代を予見し、論壇を変革した60年代の偉業。
目次
海洋国家日本の構想(現実主義者の平和論;外交政策の不在と外交論議の不毛;二十世紀の平和の条件 ほか)
政治的思考の復権(変化する日本と世界;日本人の政治意識とその根源;変動の時代への視角)
論文選(アジアの安全と日米の役割;世界政局はどう転換するのか;闘争の時代の政治学;日本の外交論議における理想主義と現実主義;沖縄返還交渉と報道機関の役割;自立への欲求と孤立化の危険―1970年代の日本の課題)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
15
表題作は戦後日本の国際政治・外交論に事実上一つの基準を打ち立てたという点で特筆すべき一冊。それは、内容が単に優れているというに留まらない。例えば、博識な歴史による補強。パワーポリティクスの現実を深く認識した上での、リアリズムによる理想主義への接近、融合。地理と経済という下部構造の重要性を強調した上で、日本外交の理念的指針も強く打ち出す姿勢。力に居直らない冷静さといった、そもそも「優れた国際政治評論が持っているとされる特徴」そのものを作り出し、普及させたという点で未だ例外的な書といえる2013/12/18