目次
第1部 ジャック・デリダ「差延」解説(前置き―差延を語ることについて;「差延」の語義分析―時間化と空間化;差延のリソース;差延とハイデガー)
第2部 討論(研究活動の総括としての「差延」講演;否定神学の神だなんてとんでもありません…;人間の消失;人間の死;マラルメが実践する段絶を参照 ほか)
著者等紹介
森脇透青[モリワキトウセイ]
京都大学大学院文学研究科在学中(日本学術振興会特別研究員DC2)。現代フランス哲学・美学。批評家。1995年生
西山雄二[ニシヤマユウジ]
東京都立大学人文社会学部教授。二〇世紀フランス思想・文学。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。博士。著書に『異議申し立てとしての文学』。1971年生
宮〓裕助[ミヤザキユウスケ]
専修大学文学部教授。哲学・現代思想。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。博士(学術)。著書に『ジャック・デリダ―死後の生を与える』ほか。1974年生
テネフ,ダリン[テネフ,ダリン] [Tenev,Darin]
ブルガリア・ソフィア大学文学部准教授。文学理論・比較文学。博士。1978年生
小川歩人[オガワアユト]
大阪大学国際共創大学院学位プログラム推進機構特任講師。二〇世紀フランス思想。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。1992年生(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
46
年齢構成が40、50代3人と20、30代2人に分かれており、前半の発表した森脇は後者だ。若手の研究者の発表だが、本になっている位だから良く出来ている。後半は討論というよりは、残り4人の補足とコメントという構成になっている。『哲学の余白』所収『差延』を読みつつ、前期デリダのキーワードである「差延」を考察している。「差延」は普通の意味で説明できない。「痕跡」として。現前化を拒み。はじまりや終わり、目的もない。「差延」から様々な哲学者を読み解くことができるが、ハイデガーの「存在論的差異」との考察は興味深い。2023/06/20
またの名
8
気が狂いそうな程の沈黙で出迎えた英国の聴衆は「なんであなた自殺しないんですか」と咎められないギリギリラインの質問を若き哲学者デリダに投げる、鬼畜な対立が幕開け。丁々発止の議論以上に極端な反応を生んだ新書一冊使って解説される重要論文ながら、いつも慎重で迂遠な書き方をするデリダが寝ずに一晩で作ったという勢いの熱量が強め。現前してるモノを記号が代理表象するみたいな通念に逆らって、後者が前者に先立ち代理がオリジナルに先行する運動を示し、結果が自らの起源を遡行し措定するヘーゲル哲学と別の道を行きつつ限りなく似通る。2024/04/10
mtht
3
読了。2024年最後の読書。ナンシーの言葉が印象的。時間なさすぎるのでとりあえずこれで。2024/12/31
中澤
2
フランス哲学学会の発表の痕跡を再構築するデリダ研究会の痕跡。前提部分が少し長め(というよりは二部が少し短いのか)で、議論の展開が物足りなかった。ドゥルーズが差異をスピノザの神=一元性から分節させるのと比べると、そもそもそうした根源的主体を認めない点でデリダはヘーゲル的だというところに納得した。あとオックスフォードで「差延」講演をしたとき、場が静まり返り、「分析哲学を読んでくるべきだった」と後悔したのが印象的だった。デリダ伝を読みたくなる。2023/11/04
μέλισσα
1
形而上学への欲望の破壊不可能性がカント『純粋理性批判』における超越論的仮象の不可避性と重なって見える。しかし、カントはアプリオリな足場を見出すのに対し、デリダが絶えず繰り返す脱構築の運動に向かったその違いが気になった。 ポストモダン思想におけるカントの啓蒙論の評価は知っているが、理論的側面においても、カントにはニーチェの中に回収されない特質があるのだろうか。 デリダがカントよりもヘーゲルを重視していたこともこの違和感に繋がるのだろうか。2025/03/06