内容説明
「資本主義」と最初に表現したのは誰か?近代社会のキー・ワードとしての「資本主義」語の変遷を追跡して、資本主義認識の深化の過程を考察するユニークな経済理論史。マルクスは資本主義を「資本主義」とは表現しなかった!?「資本主義」という用語の発生、受容、展開をめぐる“時”と“人”と“言葉”のドラマとミステリー。
目次
第1部 「資本主義」語のはじまり(「資本主義」語も「社会主義」語も―ピエール・ルルー;生産手段の排他的専有―ルイ・ブラン;ブルジョア的気分―サッカレー;どん欲な資本家―ブランキ;使われはじめの時期の「資本主義」語)
第2部 「資本主義」語なきマルクス(マルクスと「資本主義」語;マルクスにおける資本主義認識)
第3部 「資本主義」用語の継承と変容(国民経済における結合形態;―シェフレ;機械制産業―ホブソン;資本家的精神による経済体制―ゾンバルト;「資本主義」用語の変遷)
著者等紹介
重田澄男[シゲタスミオ]
1931年生まれ。1954年、京都大学経済学部卒業。静岡大学人文学部を経て、現在、岐阜経済大学経営学部教授。経済学博士
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感想・レビュー
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jntdsn13
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黎明期における「資本主義」用語を検討した本で、概念史のお手本のような本。そもそも、社会主義のほうが先行して1830年代に登場しており、1850年頃、ピエール・ルルーが資本(家)の階層とかなんとなくそんな感じの言い換え語として登場した。近代用語としての用法はマルクス以降、シェフレ、ホブソン、ゾンバルトらがマルクスの発見を(自分なりの理解を施して)指して資本主義と言ったことで拡散していくが、当のマルクスは「資本家的生産様式」としか言っていなかった。著者は興味ないかもしれないが、そのあとの歴史も気になるところ2022/03/21