内容説明
中世日本における三つの「乱世」(源平争乱期・南北朝動乱期・戦国時代)を記述したテクスト群は、公定文化の価値観に回収されない、別の世界認識への可能性を秘めている。それらのテクストを動態的にとらえなおし、その孕み持つ多元性・異種混交性を照射する。
目次
「古典日本」と転形期のエクリチュール
第1部 一二世紀末~一四世紀の動乱とエクリチュール(敗者への眼差しと歴史叙述―『五代帝王物語』と宇多源氏春日流の系譜;重衡が立っていた場所―『平家物語』における「仏敵」の創出;清盛の「悪行」を読み替える―王法・仏法と海港の論理;『源平盛衰記』における「改作」について―笑いと複数性 ほか)
第2部 「長い一六世紀」の記憶とエクリチュール(転向キリシタンと楠伝説―世界宗教の記憶とその転生;転形期の記憶と抵抗―「徳川の平和」と『太平記評判秘伝理尽鈔』の眼差し;一向一揆と文学―ある対抗的「語り」についての覚書;他者・迫害・歓待―フロイス『日本史』における接触空間1 ほか)
著者等紹介
樋口大祐[ヒグチダイスケ]
1968年、兵庫県西宮市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。台湾輔仁大学外国語学部助理教授を経て、神戸大学大学院人文学研究科准教授。日本中世文学、東アジア比較文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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