内容説明
映画はなぜ戦争を描くことに熱心なのか。戦争映画はなぜ魅惑的なのか。戦時下の映画から、戦後の反戦映画、SFやアニメまで、映画と戦争の濃密で危うい関係を探求する。
目次
総論 戦争/欲望/表象
1 戦火のもとで(日露戦争と映画―実写映画を受容する観客の歴史性;戦争とカツドウヤ―山本嘉次郎の航空戦記三部作について;宣伝メディアとしての映画―日本軍占領下のジャワにおける映画制作と上映;米国政府による日本映画の接収と軍事利用)
2 記憶のなかの戦争/想像のなかの戦争(戦争責任論と一九五〇年代の記録映画;ドラマの中のヒロシマ、ナガサキ;従軍する女性たち―『ひめゆりの塔』にみる戦争とジェンダー/植民地表象の政治学;東宝特撮と戦争の影;戦艦大和イメージの転回;大島渚とヴェトナム;キャメラは「こじ開ける」―『ゆきゆきて、神軍』を基点に戦争表象を横断する)
著者等紹介
奥村賢[オクムラマサル]
いわき明星大学人文学部教授。専攻は映像・映画研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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1
20世紀は映像と戦争の世紀であると捉え其の二つの相互作用を読み解く論考集。大きな戦争の後、戦争を撮る欲望/観る欲望が人々の間に飛躍的に増していった状況を探る。個人的には、倉沢愛子「宣伝メディアとしての映画」が出色。日本軍のジャワ占領期に戦略的に軍が映画を利用して現地の人々を馴致していこうとする過程を描く。全て日本人が作るのではなく現地の人々も関わっていた。只のプロパガンダではなく、娯楽性、芸術性の高い側面もあったと云う。その後のインドネシア映画界に影響を残す。他だと川村健一郎「大島渚とヴェトナム」も白眉。2014/07/06
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