出版社内容情報
2つの世界大戦、米ソ冷戦、そして「9・11」以降開始された世界規模での戦争と暴力の連鎖――。思想が現実に対してアクチュアリティを持ち得るためには、暴力の問題ととことん向き合い続ける以外ない。レヴィナス、スピノザ、デリダ、廣松渉の思想を俯瞰し、現代思想の課題を探る。
序に代えて
第一章 歴史・記憶・暴力
〈閉じられた国民=主体〉を超えるために
一、〈起源の物語〉としての国民の歴史
二、ホロコーストをめぐるドイツの論争
三、二〇世紀の「暴力の歴史」は断ち切れるか
第二章 思想の不可能性から不可能性の思想へ
一、エマニュエル・レヴィナス―他者とは何か
二、廣松渉―差異性の哲学として読み替える
三、廣松の抱いたアジアへの見果てぬ夢
四、バルフ・スピノザ―ラディカル・デモクラシーの源流
五、ジャック・デリダ―『法の力』以降の法・正義・暴力の問題
第三章 「帝国」―世界の憲兵化するアメリカ
一、「九・一一」後―新世紀戦争の幕開け
二、「帝国」グローバリズムとの対決
府川充男「高橋順一のこと」所収
今回のイラク侵攻においてアメリカは早々と国連安保理における侵攻承認決議とそれにもとづく多国籍軍の編成を断念することによって、…長年維持してきた世界政策の正統性の根拠を自ら放棄した。…「自由の作動する空間を保証する」機能は、何ら正統性の吟味を経ない恣意としての、オブセッションとしての「自由」や「正義」という空語の連呼に取って代わられた。その結果として本論のスピノザ、デリダに関する項でも述べたようなむき出しの暴力性が露呈するのである―(あとがきより)
内容説明
二つの世界大戦、米ソ冷戦、そして「九・一一」以降開始された世界規模での戦争と暴力の連鎖―思想が現実に対してアクチュアリティを持ち得るためには、暴力の問題ととことん向き合い続ける以外ない。レヴィナス、スピノザ、デリダ、広松渉の思想を俯瞰し、現代思想の課題を探る。
目次
第1章 歴史・記憶・暴力―“閉じられた国民=主体”を超えるために(“起源の物語”としての国民の歴史;ホロコーストをめぐるドイツの論争;二〇世紀の「暴力の歴史」は断ち切れるか)
第2章 思想の不可能性から不可能性の思想へ―レヴィナス・広松渉・スピノザ・デリダ(エマニュエル・レヴィナス―他者とは何か;広松渉―差異性の哲学として読み替える;広松の抱いたアジアへの見果てぬ夢;バルフ・スピノザ―ラディカル・デモクラシーの源流;ジャック・デリダ―『法の力』以降の法・正義・暴力の問題)
第3章 「帝国」―世界の憲兵化するアメリカ(「九・一一」後―新世紀戦争の幕開け;「帝国」グローバリズムとの対決)
著者等紹介
高橋順一[タカハシジュンイチ]
1950年、宮城県生まれ。埼玉大学大学院文化研究科修了。現在、早稲田大学教育学部教授。専攻、ドイツ・ヨーロッパ思想史
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