風の言葉を伝えて=ネイティブ・アメリカンの女たち

風の言葉を伝えて=ネイティブ・アメリカンの女たち

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784806755999
  • NDC分類 316.853
  • Cコード C0098

出版社内容情報

芸術家、母親、治癒者、教育者……大地に根ざした哲学にささえられ、多様な役割を担う14人のネイティブ女性たちが語るライフ・ストーリー。
その生き方は、民族を超え、人としてのあり方を私たちに示し、励ましてくれるだろう。

【書評再録】
●東京新聞評(1997年10月2日)=芸術家、活動家、母親、祖母、治癒者、教育者。多様な役割を担う彼女たちの生き方は人間として、地球人としての道を示しているように思えてならない。
●週刊金曜日評(1998年10月2日号)=一人ひとりの人生物語に耳を傾けると、はてしなく続くいぶし銀のような奥深い光を感じさせてくれる。生命をつなぐ存在としての謙虚な責任感は、彼女たちに共通した哲学もしくは世界観だろうか。複雑かつ矛盾に満ちた現実にあっても、その堂々たる生命観の上にある彼女たちの多様な人生のすべてがいかにインディアンであるかを見せつつ、読者自身にもその内なるものへ心の目を向かわせる。奥行きある読書の醍醐味を味わっていただきたい。
●教育新聞評(1998年2月23日)=本書に登場する彼女たちの言葉はたくましく、自然に対して謙虚である。そして、その思いを子供たちにもちゃんと伝えている。現代日本人が耳を傾けるべき言葉も多い。登場する14人は、それぞれ自分を語りながら、時間や地域を超えて普遍の哲学を語ってくれている。
●出版ニュース評(1998年3月下旬号)=大地に根ざす哲学に支えられて生きることの素晴らしさを縦横に語っている。

【読者の声】
■女性(31歳)=ネイティブ・アメリカンの諸部族の人々達の価値観、生き方に共感します。特に同じ女性として、その強さとたくましさに励まされました。力強く部族の伝統を守ってほしいと願っています。私自身ももっとスウェットに入り、常に心と身体を清め、力強く生きていきたいと思いました。
■男性(41歳)=インディアンの人々の悩み、少数者の置かれた苦しい現実と先住民の悲しみとともに、深い精神世界、生き生きとした女性たちの姿が感動的に伝わってきました。

【内容紹介】本書「はじめに」より
 本書は、ネイティブ・アメリカンの社会を陰で支えてきたネイティブ女性のライフ・ストーリーを通じて、現代ネイティブ・アメリカンの世界をありのままに伝え、彼女たちが秘める力と人間性に触れさせてくれる。芸術家、活動家、教育者、治癒者。大地に根ざした哲学に支えられ様々な役割を担う女性たちが、それぞれの人生の歩みを通じて、先住民、女性、母親、祖母、指導者、そして地球の世話人であることについて語る。
 今までアメリカ史といえば、総じてコロンブスの大陸「発見」からヨーロッパ人の移住、米国の建国、移民の歴史という流れでしかとらえられてこなかった。ネイティブ・アメリカンの歴史は、ヨーロッパ人の到来を遡ること数万年の歴史であるという事実も広く認識されてはいない。口承で伝えられてきたネイティブ・アメリカンの歴史と、研究者が発表する歴史とでは大きく食い違う点も多い。また、ネイティブ・アメリカンの文化、哲学、宗教、歴史などが紹介される場合も、ネイティブ以外の言葉で語られることがほとんどである。メディアを通じて発信される情報やイメージは、あくまでも人びとが求める「インディアン像」であり、複雑な歴史と現実を生きてきた彼らの本当の姿だとは言いにくい。とりわけネイティブ女性のイメージはメディアによって大きく歪められ、彼女たちが私たちと同じ等身大の女性であることはあまり伝えられてこなかった。
 そんな背景の中、本書でその思いを語るネイティブ女性は、誰もがたくましい。個性や表現方法は違っても、「大地と、人間を含むあらゆる動植物は皆つながっており、1つの聖なる輪をなしている」という共通の哲学が一人ひとりの心に深く根ざしている。彼女たちは、人間はこの聖なる輪のほんの一部でしかないということを念頭に、輪の調和を守るのに必要な選択を行い、行動している。そこには単に環境保護運動や、民族運動として片づけられてしまうことを拒む何かがある。アメリカという現代文明を象徴する国で、彼女たちは「アメリカン・ドリーム」を追うのではなく、大地に根ざした哲学と生き方を誇りをもって貫き、分かち合い、決して諦めようとしない。
 ネイティブ・アメリカン女性は何世代にもわたる虐殺、抑圧、差別の歴史を背負いながらも、堅固な精神、静かな優しさとユーモアを祖先から受け継いできた。それゆえに彼女たちが抱く「創造主の世界」との深い絆、7世代先の子孫に豊かな地球を残そうとする信念と行動には迫力がある。その生き方は民族を越え、人として、地球人としてのあり方を伝えているかのようにも思える。21世紀を目前に、様々な変化の渦中に立つ私たちがネイティブ・アメリカン女性のライフ・ストーリーに大きな希望を見いだせることを願わずにはいられない。

【内容紹介】本書「著者まえがき」より
 原稿はテープに収められた彼女たちの言葉をそのまま反映している。彼女たちの要望により、場合によっては文法的な修正や、脱線部分を省いたり、要約したり、関連する部分をまとめ、それぞれの語り手の言葉、考え、特徴を正確に残しながら、読みやすい文になるように努めた。話の内容にさらなる説明が必要であったときは可能なかぎり彼女たちに問い合わせた。また、外部からの視点を追加するため私個人の観察を挿入した部分もある。最終的には原稿をそれぞれの女性に郵送するか自ら届けた後、必要な修正を行い、彼女たちの承認を得た。
 この最後のステップは最も重要な部分である。ネイティブ女性は単なる「情報提供者」でもなければ、エキゾチックな世界の遺物でもない。彼女たちの話は博識の解説者による解説や改ざんを必要とはしていない。彼女たちは自分の思いを明晰に語る能力を持ち合わせていたものの、しかるべきメディアを通じて自己を表現する機会に恵まれていなかっただけなのである。ネイティブ女性たちは私に自分の一部を分かち合ってくれ、私は彼女たちの話を正確に伝える道徳的な責任を感じていた。
 ネイティブ・アメリカン女性に関する「真実」を探ろうとする読者はその答えをこの本にも、他のどの本にも見いだすことはできないだろう。しかし、本書を通じて、森の中の部族学校や「シスター・スクール」、プエブロから北極、過去から現在を訪ね、未来への展望に耳を傾けていただきたい。次第に万華鏡のように変化する視点や、多様な色彩を通じてネイティブ女性たちの生き様が照らし出されてくると信じたい。
 本書の中でネイティブ女性たちは自己の内面の奥深くを探り、自分が誰であるか、そしてどこに向かっているのかを分かち合ってくれる。彼女たちの声に慎重に耳を傾ければ、彼女たちの魂が歌い、癒されていることが分かるだろう。世界中の悲しみを少しでもやわらげ、世界の子どもたちが、この地球上で幸せに暮らしていける術を彼女たちは教えてくれるかもしれない。

【主要目次】
   生命を祝う……ソーグ・トラック(タオス・プエブロ)
   チェンジング・ウーマンの娘たち……エミ・ホワイトホース(ナバホ族)
   自然の恵みに支えられて……フラン・ジェームス(ラミ族)
   内面から湧き出る力……イングリッド・ワシナワトック(メノミニー族)
   生存という奇跡……エレーン・サリナス(ホワイト・アース・オジブワ族)
   聖なる風の女……ファニータ・エスピノーザ(タートル・マウンテン・オジブワ族/デビルズ・レーク・スー族)
   不死鳥のごとく蘇ったプヤラップ族……ラモーナ・ベネット(プヤラップ族)
   大地を守り、大地に守られる……バージニア・プール(セミノール族/ミコスキー族)
   混血児の物語……ウェンディー・ローズ(ホピ族/ミウォック族)
   聖なるパイプの道を生きる……キャロル・アン・ハート・ルッキング・ホース(ラコタ族)
   民族の絆……ローラ・ウィットストック(フデノショニー/セネカ)
   精霊の加護……バイ・ヒルバート(アッパー・スカジット族)
   我らカリブーの民……サラ・ジェームス(グウィッチン/アサバスカン/アラスカ先住民)
   命をかけて守る大地と伝統……ジャネット・マクラウド(トゥラリップ族/ニスカリー族)

内容説明

現代に生きるネイティブ女性14人が自ら語るライフ・ストーリー。大地と宇宙との一体感、静かな優しさ、たくましさとユーモア―その生き方は民族を越え、人としてのありかたを私たちに示し、励ましてくれる。

目次

生命を祝う
チェンジング・ウーマンの娘たち
自然の恵みに支えられて
内面から湧き出る力
生存という奇跡
聖なる風の女
不死鳥のごとく蘇ったプヤラップ族
大地を守り、大地に守られる
混血児の物語
聖なるパイプの道を生きる
民族の絆
精霊の加護
我らカリブーの民
命をかけて守る大地と伝統

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