出版社内容情報
『毎日新聞』評
「たばこ病」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。肺がんや呼吸器、循環器系の疾患の名前がすぐに挙がりそうだ。このほかにもアレルギーの増加などを取り上げ、たばことの関連について、最新の知見とともに紹介している。
喫煙者はよく「し好の問題だから」と弁解するが、現実には、受動喫煙によって、子供など周囲の人により多くの「たばこ病」をもたらす。配慮や良心を失わせるという点で、たばこ依存症も「最悪のたばこ病」だ。つまり「たばこを吸うこと自体、病気なのだ」。
係争中の「たばこ病訴訟」の話題や、たばこ病の体験談、たばこ病と戦うために役立つホームページなどもあり、盛りだくさん
監修のことば/徳留修身
第1章 えっ、こんな病気が「たばこ病」/加濃正人(横浜市立大学医学部第一生理)
百害あって一利?/たばこ依存症/がん/慢性気管支炎/肺気腫/気管支ぜん息/その他の呼吸器病/不整脈・高血圧/高コレステロール血症・動脈硬化/狭心症・心筋梗塞/大動脈瘤・脳卒中・痴呆症・閉塞性動脈硬化症・バージャー病/糖尿病/口の中の病気/慢性胃炎 胃・十二指腸/その他の消化器病/内分泌・代謝の病気など/性機能への影響/妊娠とタバコ/子供への影響/化学物質過敏症/皮膚の病気/アレルギーの病気/目の病気
第2章 私の「たばこ病」体験
1日120本、毎日吸っていた僕/コロムビア・ライト(漫談家)
自分をみつめ、社会と出会う旅/伊藤矢知子(ぜん息患者)
化学物質過敏症と環境タバコ煙/海老原節子(化学物質過敏症患者の会)
第3章 たばこでこんなに「ソン」してた
ようやく理解できた非喫煙者割引保険/浅野 晋(弁護士)
健康を支援するノンスモーカー保険/渡辺啓一(第百生命保険)
リスクの高い喫煙者の料率を高くした/松林 俊(アリコ・ジャパン)
第4章 「たばこ病」のない21世紀へ
忘れられない喫煙
たばこを吸う人も是非ともこの本を読んで下さい。「たばこの害はわかっているけどやめられない」という人も、本当に害を理解したら禁煙できます。たばこの害が想像よりも大きいことに驚く方もあるでしょう。
たばこをやめて後悔する人はまずいません。たばこを吸わない人ややめた人も、この本でたばこ問題を考え、周囲の人々の禁煙を手伝ったり、「たばこのない社会」の実現に向けて行動しましょう。
本書はたばこ問題に真剣に取り組む専門家や体験者の執筆によるものです。本書によって喫煙は「たばこ依存症」という病気の症状であり趣味や嗜好ではないこと、たばこが「禁断症状」というストレスのもとになることなどがご理解いただけると思います。たばこが幸福をもたらすことはありません。また、たばこは社会全体にとっても大きな損失をもたらします。たばこが麻薬とほとんど変わらないにも関わらず、税収の道具にされていることは大変な人命軽視にあたるでしょう。
本書が「吸う人」にも「吸わない人」にも有益な資料となることを信じます。