感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キートン
2
太平洋戦争頃の満州が舞台となったいる推理小説を集めたアンソロジー。殺人事件ならぬ殺馬事件の真相が、堅実かつ論理的に解決される「競馬会前夜」から始まり、安楽椅子探偵物、歴史ミステリ、冒険小説風ありと、バラエティに富んだ作品が収録されていて、「戦前の推理小説のほとんどは推理小説なんかじゃない」と常々思っている自分もこのアンソロは楽しく読むことができた。 他のシリーズも読んでみたいけど、どこかで古本に巡り合わないかな。2017/10/18
ミュンヘン
1
以前挫折していたものの再読。短編集なので最初から読み通そうとせず面白そうなものを拾い読みしていたら最終的に全て読了していた。学生の兄妹の往復書簡から犯罪が浮かび上がるものや、ぬれ衣を着せられた新聞記者が孤軍奮闘するなど物語にもそれぞれ趣向がこらされている。そんなストーリーの中から、同じ職場での日本人と満人の経済格差や、多様な人間がいる満州の風景などがぼんやりと浮かび上がってくる。2010/07/23