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出版社内容情報
1947年新国家誕生前夜のエルサレム。少年は仲間から思いがけず「裏切者」とよばれた。言葉を頼りに考えを巡らせ、無垢さ純粋さを疑い、寛容さ相対へと移行する成長の痛みを、冷徹な眼差しで見つめる自伝的ビルドゥングスロマン。[「8歳から80歳までの子供のための」読み物の一冊]
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Porco
16
英国の委任統治下のパレスチナで、英国を追い出したいユダヤ人の少年が、1人の英国人と語学の勉強を通じて交流する話。作者自身の少年期体験を下敷きにしているそうです。2021/05/09
ぱせり
15
イスラエル建国前夜。一つの時代の終焉とはじまりとが、主人公の子供時代の終焉に重なる。いずこの子供も変わらないや、と既視感を感じる12歳らしさに絡まってくるのは、彼らの民族と社会とが対面する過酷な現実。否応なしに影響されずにいられない周辺の独特の事情・予感に圧倒される。考え、悩み、揺れつつ大人に変貌していく少年の気持ちを丁寧になぞっていく。2015/05/06
きゅー
8
1947年のイギリス委任統治時代のイスラエルが舞台。12歳のプロフィは、友人から裏切り者と罵られる。プロフィは少年なりに裏切るとは何なのか考える。おそらくプロフィと同じくらいの年令向けに書かれた物語のためだろうか、大人となった私が読むと「裏切り」のテーマの掘り下げ方が浅いように感じる。作中で少しずつプロフィは子供らしい無垢を振り捨てて、この世界には灰色の領域が広がっていることを知るようになる。その様子を客観的に見ている45年後の語り手との意識のズレがおもしろいが、それほど印象に残る作品ではなかった。2013/09/25
龍國竣/リュウゴク
2
イスラエル建国前夜の少年の心の動きを捉えた作品。パレスチナの事を語る時、政治的問題に目が行き、特別視してしまいがちである。しかし、十二歳の少年の目を通して描かれるその様子は私達と同じ等身大のものである。括弧書きで挿入される著者の視線も温かい。2013/12/31
soran
1
イスラエル建国前夜のユダヤ人の雰囲気がよくわかる。大半の親族をナチに殺された両親。自分たちはイギリス軍相手に戦う「地下組織」のメンバーだと夢想する少年。「私たちの国」への痛切な思い。一方で少年は敵のはずのイギリス軍人と友達になり、建国がなったら、今度はここに住むアラブ人がユダヤ人になるだろうと言われる。重いテーマを織り込みながら、思春期に踏み込んだ少年の心を生き生きと描く印象的な一冊。2014/12/23
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