感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
81
本を開いたら、木の葉🍂の形の栞が舞い落ちた。思いがけない出来事。素敵な贈り物。秋の朝、部屋の奥まで差し込んでいた穏やかな光の中、なんだか満たされた気持ちになった。お話の中も秋だった。金色に輝く草原、樺の木の林、蛇行した銀色の川。どこか物哀しい茫漠とした静かな世界に、大切で特別な時間を見ているような気がした。ネコのヤンとカワカマス君の出会いから始まるおわりはないお話。けれど出会いのうれしさが別れのかなしさやさびしさを宿命的に内包していることをわたしは思い、過ぎ去る一瞬のかけがえのなさに胸がきゅっとなった。2022/11/03
ペグ
79
題名にもなっているカワカマス君が謎でした。ミステリー読みのすれっからしの読者であるわたしはとてもはらはらします。そして、読み終われば、なんと素敵なお話!これは事件です! すっかり猫のヤンとカワカマス君のファンになっていました。紹介してくださったJさん、kさんに感謝!2022/11/23
ワッピー
41
【寅年にネコ本を読もう】参加本。ある日、低い丘の斜面にあるヤンの家を訪れた珍客は、はるか向こうの川からはるばる歩いてきたカワカマス(!)だった。他愛もないおしゃべりをしてはヤンから塩・バター・スメタナ・キノコといった食料品、ついにはサモワールまで借りだしていく。一人暮らしが好きなヤンも人恋しくなるときがあり、カワカマスとの交際を愉しみに、季節の変化と時の流れに耐えていく。大雨に濡れて毛布にくるまったヤンのイラストと、著者のメッセージ「ああ、この刻だ、と思う一瞬を大切にしなければいけない」にやられました。2022/05/15
minimu
33
小高い丘の上にひとりで暮らしている猫のヤン。彼の元に、ある日、見ず知らずのカワカマスがやってくる。「明日は名の日のお祝いなのでキノコのスープを作ろうと思ったら、バターを切らしてしまって…」その後も繰り返し、ものを借りるためにカワカマスはヤンを訪ねる。あの大雨の日までは。。なんともほほえましいお話でした。ヤンの気持ちをどう読むのかによって、その時の自分の気持ちのバロメーターになりそう。ふとしたときに手に取りたい一冊。2018/12/01
ワッピー
32
川魚が草原を歩いてネコの小屋に再々やってくるというシュールな本作は亡命詩人ヨシフ・ブロツキーの詩にインスピレーションを得たものの由。著者によると、ヤンのところに食料をもらいに来るだけのカワカマスをずるいと思う人の心はいささか疲れているのではということですが、ここまで広い草原に暮らすと人と会うことは、どのような口実があっても素晴らしいことでしょう。人と人の距離が狭すぎる都会生活者には想像もできない距離感です。ヤンのようにあるがままに他の存在を受け入れるということは本当に難しいですね。2012/01/29
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