内容説明
ポスト・モダンや近代の終焉がさかんに語られ、環境破壊や産業社会の諸問題との関連で近代への批判がなされる今日、プロテスタンティズムと近代世界との関連について問うこと、それどころか近代世界の成立におけるキリスト教の意義について問うことは陳腐で、時代遅れなことと思われるかもしれない。しかしもし仮に近代の終焉について語るべき時が来ているのだとしても、われわれが責任ある仕方でこの問題と取り組もうとするならば、近代世界の成立について問うことは決して無駄なことではないはずである。本書は、『世俗化された世界におけるキリスト教』を中心に、著者の論文四編を選び出し、訳出したものである。
目次
第1章 世俗化された世界におけるキリスト教(世俗化についての論争とその歴史的起源の問題;文化的な世俗化の問題の帰結;世俗化した文化におけるキリスト教神学の課題 ほか)
第2章 宗教改革と近代
第3章 近代のキリスト教的正統性―ハンス・ブルーメンベルクの書物について
第4章 セオクラシー的な選択(社会の政治的な一致のための前提としての宗教の一致;世俗化のプロセスと国家の宗教的な中立;近代的批判の反動 ほか)