内容説明
「酒」を愛し、世界の「文学」に通じた十二名の論考による「饗宴」。世界各地の文学作品で言及される酒を、縦横に読解していく。盃を片手に、さらなる読書へと誘う「文献案内」も収録。酒を愛し、詩と小説を愛するすべての人に捧げる。
目次
文酒のまじわるところ・酒と文学
古代ギリシア 酒神のいますところ
バルカン 飲む酒と飲まない酒
ドイツ ゲーテの愛と歌と酒と
ロシア ドストエフスキー『罪と罰』のaqua vitae
チェコ 「居酒屋」という空間と小説の語り
フランス 蒸留酒のイメージ―ゾラ、ユイスマンス、ジャリ
イギリス 崇高への上昇と地獄への失墜―マルカム・ラウリー『火山の下』における酒の作用
ラテンアメリカ 陶然の記憶―先スペイン期から現代まで
ペルシア ハーフェズの詩的世界における「酒」〔ほか〕
著者等紹介
沓掛良彦[クツカケヨシヒコ]
1941年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。文学博士。狂詩・戯文作者
阿部賢一[アベケンイチ]
1972年、東京生まれ。カレル大学、パリ第4大学に留学。東京外国語大学大学院博士後期課程修了。現在、立教大学准教授。専門は中欧文化論、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sibasiba
17
前にも違う本の感想で書いたが酒は飲まないのに酒の話が大好きなので当然のように手にとった。チェコの話で予感通り千野栄一の名前が出てくるが読もう読もうと思いながら何年だろう。ヤスロフやフラバルも読みたくなった。フランスでワインがアルコールに含まれず、中毒防止運動でワインは良いがブランデーはダメだとされたとかワインの消費拡大の時期に害虫によってぶどう畑が壊滅的被害に被った為模造ワインや水増し混ぜ物の横行で品質保証が十分でなかった。アルゼンチンのガウチョが飲むジンと中産階級の淑女が飲むジンの違いも面白い2014/01/07
oDaDa
3
フランス19C後半におけるコニャックとブランデーの名称における距離、蒸留酒とワインのイメージとしての距離、これを解説できている邦本に漸く出会う。蒸留酒特にアブサンが目の敵にされていく様を、ゾラ、ユイスマンス、ジャリの表象から読み解いていく第6章は鮮やか。2022/11/29