内容説明
滅び去ってゆく道の芸能のなかで、ホンモノの芸能がひとつ、何かにしがみつくように生きかえり、そしていま未来に向かって強く生きようとしています。これは日本文化史の上で重大な出来ごとなのです。その祈るような思いのこもった熱い記録!
目次
第1部 猿舞座誕生―平等を生きる
第2部 花猿再生―半芸半学の文化活動をめざして
第3部 猿舞座の旅―出会いと別離のドラマ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
22
兄と復活させた猿回しと分かれ、江戸の伝統芸能「猿舞」を追究する村崎たち。その熱が、とてもストレートに伝わってくる。◇最初は小さな活動である。それが、人にぶつけるたびにひとまわりずつ大きくなる。村崎に自宅を直撃された宮本常一も今西錦司も、その熱を本気で盛り上げ、本気で突き放す。地元で技を受け継いできて師となった二人の巨匠も同じ。そして、目標を共有し行動に移す力強さ(なんといっても「オルグ」って表現だ)。山口京都佐渡犬山秩父筑豊、いろんな人びとが、おそらくときに衝突しながらヨコヘヨコヘとつながる。気持ちいい。2015/05/26
gachin
2
周防猿回しの総決算報告書のような本。調教の部分だけ読んだ。心技体の心にかなり偏るものの、最高峰の指南書。猿飼 五月翁の名誉が回復されてる。やはり社長気質の村崎義正には彼を評価する目がなかったようだ/ ヒト側のリズムが悪いと猿は疲れる/飼育:仕込み=7:3で飼育の方が重要。飼育までやるなら甘い言葉はたまにでいいらしい/ 仕込む際に試されてるのは猿ではなく仕込むヒトの方の感情コントロール能。これは本当にそう。2022/12/25