内容説明
「おちこぼれ」の精神分析。学習障害、精神薄弱は遺伝子の中に書き込まれているわけではない。ラカンの概念を駆使した全く新しい角度からのアプローチ。
目次
1 現代の病、おちこぼれ(現代の病、おちこぼれ;要請と欲望;おちこぼれ諸状況への現象的接近)
2 症例
3 精神薄弱という概念の歴史―精神医学から心理学へ
4 精神分析的観点から見た知能と精神薄弱
5 精神病
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
5
見た目も書名もアレなのであまり頭を使わないで幸せに生きる方法を教えてくれそうな感じがするけど、実際のところ中身はかなりハードなラカン派精神分析の症例集。アメリカナイズされた認知行動療法や薬物療法や統計学とは異なる臨床態度を採る精神分析が浸透してるフランスで、精神薄弱あるいは知恵遅れと呼ばれる子どもたちへの対応の一角も担う分析家が、ラカン的知見によって困難な事例に立ち向かう様子が覗ける興味深い本。知的活動への制止はときに親があれこれと我が子にとって最良の選択をすればするほど苛烈になる、超自我のパラドックス。2015/02/10