感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
塩崎ツトム
20
「これはゲームであり、1000点貯めれば勝ちで、戦車が貰える」。資本主義は世界を巨大なゲーム空間にしたが、現実は現実であり、ゲームではない。それでもぼくらは「こんなの茶番だ」と思いつつ、逆にそれを一種のマゾ的な慰めとしている。驚くことではないが、現実社会とトレーディングカードゲームは相似している。次々と新しいカードが発行され、公式ルールは絶え間なく変わり、カードのプレミア価格はそれに伴い乱高下していく。(つづく)2025/07/30
ウォーカー
7
新自由主義下の資本主義の現実を告発する。原文のせいか訳文のせいか文章が非常に読みにくく理解しづらい。見たことのない映画・小説を踏まえた論述も多く分かりづらい。精神疾患(鬱病)の増加、自己(個人)責任化、官僚主義・管理社会の弊害、公共圏の破壊などが直接には指摘されるが、大きな視点では「この道しかない」という選択肢の無さの停滞感、資本主義とは別の世界(オルタナティブ)を構想できない未来の貧困を訴えるものと理解した。資本主義以外の(又はその先の)世界のイメージは確かに難しいが、著者の訴えかけは忘れないでいたい。2026/03/25
雪駄
6
これが資本主義のリアルか。オルタナティブはもはや幽霊のよう。歴史の終わりを生きる我々には選び得る選択肢が無い。というか想像が出来なくなっている。自分ができることは既存の枠組みの中で、なるべく快適なイスに座れるよう、働いて、節約して、蓄財することのみ。基本的人権が将来にわたって尊重されることを願いつつ…。地球に暮らせなくなるみたいな、ガンダムの世界観になると状況が変わるんだろうか。北の大地が記録的な暑さに見舞われている今日、そんなことを思った。2025/07/22
ろへい
6
資本主義がいかに心を索漠とさせる冷たい制度かという主張を、映画やTV番組、ポップカルチャーを引き合いに論じる。著者はイギリスの評論家とのことだが、ブログと音楽評論で有名で、本書もエッセイと言って良い。身近に起きた出来事や時事ネタから敷衍して、大きな社会の枠組みに思いを馳せるスタイルは、橋本治のエッセイ「ああでもなくこうでもなく」を彷彿とさせる。コールセンターの不条理さはカフカ的だ、など一人合点がきつ過ぎるのも橋本治に似ている。資本主義の嫌な面ばかり強調するが、「ファクトフルネス」のような本も参照すべきだ2025/07/18
八八
5
正直、かなり今更な読書となってしまった。『資本主義リアリズム』という概念について、すでに、本著をベースとして、多くの論者が現代社会について、資本主義に変わるオルタナティブな世界観が浸透せず、まさに、リアリズムとして資本主義的な現在、未来しか存在しないという現状について論じている。その嚆矢であるマーク・フィッシャー著の『資本主義リアリズム』を振り返りとして、今読み直すことは、論を知る上で大事だろう。2025/09/15




