内容説明
動物介在療法に携わるDI犬のスピカと、そのハンドラーの凪川遙が、様々な患者と家族に向き合う。それは、凪川自身の内面にも変化を起こし、やがて大きな決断をすることに。動物介在療法を知るきっかけとなった同期との出会いとその後、育児放棄をした母とのこれから。犬と人との関係を通じ、人と人との心地よい距離と自分自身のありようを見つめ直していく。命の現場を舞台に、現役看護師の著者が描く希望の物語。
著者等紹介
前川ほまれ[マエカワホマレ]
1986年生まれ、宮城県出身。看護師として働くかたわら、小説を書き始め、2017年『跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング』で、第7回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2019年刊行『シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎』は第22回大藪春彦賞の候補となる。2023年刊行『藍色時刻の君たちは』で第14回山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
184
王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので、読みました。前川 ほまれ、初読です。動物介在療法医療小説、現役看護師だけあって内容はリアルでしたが、もう少し感動的なエピソードがあれば、もっと好かったと思います。 スピカがD I犬の名前だとは思いませんでした。 https://www.unext.co.jp/ja/press-room/original-books-maekawa-homare-2024-08-232024/11/07
モルク
106
動物介在療法DI犬スピカとハンドラー凪川遥。時津風病院の看護師だった遥が同僚看護師詩織の影響もありハンドラーを目指し、スピカに出会い共に成長していく。小児がん、終末期、精神疾患など様々な病を持つ人々をスピカは癒し光を与える。医療現場に犬を介在させることには反対する声もあるだろうし、経費などたくさんのハードルがあると思う。しかし動物に寄り添われることで救われることもおおいはずだ。私の母も長くパーキンソン病を患っていたので詩織の若年性パーキンソン病は胸が締め付けられた。でも彼女は前を向く…2025/05/21
machi☺︎︎゛
90
前川ほまれさんの本は生や死にすごく近い話が多くて、読んでいてしんどくなる時もあるけどこの本はそのしんどさもDI犬のスピカの可愛さで救われた。犬が介入する事が正式に認められその犬もちゃんと職員として扱われる。そんな制度を導入している時津風病院での看護師やDI犬のハンドラーと患者側の人たちの話。犬だからもちろん診察や処置はできない。だけどスピカにしかできない事はたくさんあってスピカに助けられた人たちの中には医者よりも大事な存在になっている時もあると思った。2024/11/12
ゆみねこ
82
動物介在療法に携わるDI犬のスピカと看護師でハンドラーの凪川遥。様々な患者と家族に向き合う中で、遥自身の母との関係を見つめ、新たな一歩を踏み出すことに。スピカのように病院で活躍する犬が増え、そのことを理解する人が多くなれば良いと思った。病院の中の様子や病状の詳細さは、さすが現役看護師の前川さん。2024/09/28
hirokun
79
★4 動物介護療法に携わるハンドラーと介助犬をテーマにした物語で、ハンドラーの今日に至るまでの境遇、経緯について表現。作中で語られる、まるでノンフィクションであるかのようなストーリーと、私自身に起きた愛犬との最後の別れ、生前の様々な思い出が目の前に浮かんできて感情が抑えきれない読書だった。アニマルセラピーとの現実的な違いはよく理解できなかったが、あまりよく知らない世界に目を開かせてくれたこの作品には感謝したい。2024/10/30
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