内容説明
いままで経験したこともない、他者の経験や語りと出会うために―。原爆の被害者調査、災害の被災地調査、都市社会調査、障害者やアートの社会学、サバイバーの社会学、ピエール・ブルデューの社会学など、様々な分野による質的調査の実践を紹介。そこから、目の前の社会の役に立たなければならない、という近視眼的な要請のもとでのエビデンスに縛られた研究から脱却し、社会学が目指すべき、人間と人間との実存的な〈出会い〉と〈対話〉という、質的調査の本質を提示する。
目次
序章 隔離された〈経験〉を取り戻す 再帰的近代における社会学的質的調査の挑戦
第1部 質的調査「対象者」との〈出会い〉と〈対話〉(調査が動き出す 広島フィールドワークから考える〈出会い〉と〈対話〉の意味;なぜ調査者は書くのか ある原爆被爆者調査の社会調査史)
第2部 質的「データ」との〈出会い〉と〈対話〉(質的データのモダリティ分析 その人ごとの体験はどのように語られるか;質的データのモノグラフ的構成 経験を問う作業の意味と課題)
第3部 質的調査する「自己」との〈出会い〉と〈対話〉(出会いと迷い 質的な研究、というより、ただ人間的で主観的なものの探究;ブルデューの反省的社会学と質的調査 故郷ベアルンのフィールドワークをめぐって)
終章 質的社会調査と社会学
著者等紹介
有末賢[アリスエケン]
慶應義塾大学名誉教授。1953年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。専門は都市社会学、地域社会論、生活史研究
小倉康嗣[オグラヤスツグ]
慶應義塾大学文学部教授。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(社会学)。立教大学社会学部准教授、同教授を経て現職。専門はライフストーリー研究、生の社会学、原爆体験の継承
松尾浩一郎[マツオコウイチロウ]
帝京大学経済学部教授。1972年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、博士(社会学)。専門は都市社会学、社会調査論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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