感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
54
坂口さんの作品は定期的に読みたくなる。本書もそんな気持ちから手に取った。いやーやっぱりいい!読み終わると心に余裕が出きる気がした。本書は著者の坂口さんのエッセイとなります。子供とのエピソードや自分の過去など多岐に及ぶ内容。読めて良かった2024/09/15
Roko
28
恭平さんは、鬱の時の自分の姿を家族に見られたくないという気持ちと葛藤します。そして家族とそれについて話し合います。息子のゲン、娘のアオ、妻のフー、3人とも恭平さんのことをよくわかっていて、「本当は寂しいんでしょ、だったら、そう言えばいいじゃない。一緒にいてあげるから」と言ってくれます。そうか、そうだったんだと思えたところがとても素晴らしいと思いました。お互いを受け入れて一緒に暮らす、これが、家族なんだよね。2025/04/18
yutaro sata
27
苦しさの根源に向き合うという、本書の中で一番ボリュームのあるあとがきが、この本の章の全てを底支えしているように感じる。 自分が苦しくて苦しくてしょうがないとき、その隙間に入り込んでくる現実のネガティブな出来事にその全ての責任がおっ被されそうになるけれど、それらはフェイクで、実は私は生まれてきたこと自体がさびしく、そのさびしさはどうしても埋まらない、だから一生向き合っていくしかないという、一番シンプルで大切な技術を伝授してくれている。 本編のなかでは、創作の歓びと苦しみが零距離で並ぶp33がベスト。2024/08/25
紫羊
24
装丁の美しさに惹かれて読んでみた。著者の坂口恭平さんのことは、名前を聞いたことがあるだけで詳しくは知らなかった。自らも躁鬱病の苦しみを抱えながら、死にたいと訴える人たちの話に耳を傾ける。困っている人には具体的な支援(たとえばお金をあげる!)をする。そうやって多くの人と繋がりながら生きてきた。読みながら驚きの連続だった。2024/09/23
二戸・カルピンチョ
21
躁鬱病を抱えて暮らす坂口恭平さん。躁の時のパワーや行動力は強烈に光り輝く彼で、鬱の時は全くの孤独や闇に身を置く彼を想像する。そりゃ鬱なんて無いに越したことはないはずなのに、躁の輝きを知れば彼の躁鬱を肯定する感覚になる。ひとりの寂しさと恐怖とは、人としての寂しさと恐怖なのだと思うので、全員持っているはずで、でも面と向き合う必要のない人も多くいる。どっちがどうということではない。結局は寂しさ恐怖と寄り添って生きていくわけで。私は坂口さんを好きになれないかも知れない。でも坂口さんが感じて紡ぐ文章は好きだと思う。2024/09/01