内容説明
人類学者と大学生が東京の新宿周辺で路上生活をする人たちの声に真摯に耳を傾けた記録。しかし本書は、いわゆる「ホームレス問題」を描いていない。本書の主眼は、ホームレスとの交流を通じて得た素朴な疑問を端緒に、私たち「ホームの側」が無意識に理解してきたこと=アタリマエとは何かを問い直すことにある。ホームレスを知ることで、ホームのことがわかる。他者から自己の気づきを得るという人類学的な実践を通じ、ホーム/ホームレスの間の分断を乗り越えていくためのヒントを探る1冊。
目次
1 出会い方を変えてみる(ことのはじまり;二〇〇七年、夏;無力な弱者? ほか)
2 ホームレス、かく語りき(住まば都、新宿;排除と言えば排除;歩くのが仕事 ほか)
3 “ホーム/ホームレス”のその先へ(路上の声に耳を澄ます;惹きよせられ、追いだされ;歩くこと、住まうこと ほか)
著者等紹介
二文字屋脩[ニモンジヤシュウ]
1985年、神奈川県横浜市生まれ。首都大学東京(旧・現:東京都立大学)人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(社会人類学)。早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター講師を経て、愛知淑徳大学交流文化学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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etoman
3
「路上を生きる人たちの生きる現実に肉薄することで、わたしたちの「アタリマエ」を問い直し、わたしたちの生の可能性を模索する」。著者が人類学の専門家ということで、いわゆる「ホームレス」の生活に入り込んで観察し「支援を必要としている、救わなければならない人」という単純視をせずに、むしろ我々の生活のおかしさを着目しているところに読んでいて引き付けられた。途中に学生たちのレポートがあり、その新鮮な視点や目線や考え方を読み、自分の固定された考え方を反省した。最近読んだ本の中では抜群の面白さだった。2022/06/24
しゅんぺい(笑)
1
どっかで見たことある名前な気いしてたけど、母校の大学の教授やった。この授業楽しそう。関わって、生活に入り込んで感じたことを書いてるし、ちゃんと葛藤を葛藤のままに言語化されてるところがよかった。2022/07/31
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