ネコノス文庫<br> 終わりなき不在

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ネコノス文庫
終わりなき不在

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  • サイズ A6判/ページ数 208p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784910710075
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

小説家になると決意した自堕落な男。彼はこの先の人生がはたしてどう流転するのかを予見できたのか。青年の抱えるモラトリアム時間がやがて崩壊していく瞬間を描き、第三回日本文学館出版大賞ノベル部門で大賞を受賞した問題作。いま文芸界で最も注目を集める才能の一人である佐川恭一の、幼のデビュー作を待望の文庫化。

著者等紹介

佐川恭一[サガワキョウイチ]
滋賀県出身、京都大学文学部卒。2012年『終わりなき不在』でデビュー。2019年『踊る阿呆』で第2回阿波しらさぎ文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

五十嵐文人

11
圧倒的なセンスで、文字を巧みに操っている。小説家を目指す男とその周辺の物語で構成されているが、第3章は男の執筆した作中作小説になっている。自意識の高い文章は、出鱈目な駄文に見えるが、見事に主人公たちの性格を表現していて、この小説の文体はこの荒削りな感じしか考えられないと思った。登場人物たちとは友達になりたくないけど、どこか共感できてしまう要素が多くて、結末はそういう運命だと思ってしまうほど現実的だった。自分の知る自分と、他人が見る自分には大きな差がある。それを最もうまく表現できるのはやはり小説なのだろう。2023/04/20

Porco

10
読んでてかなり共感や理解できてしまってとても吐きたくなる。天才と思っていた男が身の程を知り人になる作品…だったらどれだけよかったことか。優しさと残酷さが同居している人間らしい内面描写で描かれる1人の人生の崩壊する過程が凄まじく、自分も宮田章吾であり吉川雅樹でもあると漠然と自分の境遇を思いながら読んでいたため作中作『仕舞』はもう読んでいられなかったグロテスクすぎる。最初は褒められた人ではないと思ったけど真っ当な人物が元カノしかいないし一番優しかったのも一番現実で”人”を見て慮っていたのも彼女だったよ。2023/07/20

まるよし

9
作りは面白い。ただ、作中作が最後に急展開して疑問を残して終了。作中作、結構途中まで気に入っていたのに。自己評価と他人からの評価っていつも違うよね。無駄に自己評価が高い人、低い人。どちらのほうが生きやすいのか、目標を達成しやすいのか、それはわからない。さわかやな読了感を求める人には不向きです。2023/05/13

岩間 宗達

6
読了。文学ユーチューバーつかつさんの推薦本。正直、以前つかつさんに推薦いただいた筒井康隆さんの本が自分には合わなかったので今回もそんな感じかなーと思ってページをめくりましたが大違い!面白かったです! 自分と重ね合わせて考えさせるような人物や、クスッと笑える表現もいい感じです!佐川さんの他の著作も読んでみたいです。2023/08/24

げんなり

6
今、かなり熱い著者の幻のデビュー作とのこと、ワクワクしながら読み始める。 構成がまず楽しい。各登場人物による視点でストーリーが展開していく。文章は流麗で興を削がれることもなく物語を楽しめる。お互いのすれ違いが不在ってことかなとかこれはみんな心にふと思うけど、長く考えることはしないことだなとかブツブツ言いつつ、作中作のポップなフォントにテンションが上がる。そこのヒロインが健気で可愛い。でも全体にみんな考えすぎで、だから息苦しいのだと。 巻末の略歴に第1回イグBFC優勝と入れて欲しいものである。2023/05/06

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