内容説明
「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。患者は82歳の老人。それは、かつて哲郎が激怒させた大学院の絶対権力者、飛良泉寅彦教授の父親だった―。「医療では、人は救えないんだよ」治せない病は山のようにあるが、癒せない哀しみはない。思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく―。2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞の感動作。映画化決定!『スピノザの診察室』続編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
723
マチ先生シリーズ2作目。「スピノザ~」を読んで感銘を受け、今か今かと待っていた本作なのだが、間に「神カル」を2作程読んでしまったばっかりに何だか印象が混じってしまって不安だった。しかし読み始めてみると、おそらく前作を読んでいない読者でもすんなり世界に入っていける親切設計。折々で描かれる古都京都の暮れから正月にかけての風情が何ともいえず良い。マチ先生の医師としての矜持がまた良い。その他の脇を固める医師達、患者達、それぞれが人間味豊かに描かれていて良い。心中に爽やかな風が吹き抜ける様な読後感がとても良い。2025/12/22
starbro
660
夏川 草介は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。スピノザの診察室の続編、今回は長編小説でした。本作も良書ですが、前作が凄く良かっただけに、今年のBEST20には推しません。第三弾もありそうなエンディングでした。 https://natsukawa-suirinsha.jp/2025/11/26
ちくわ
607
【♪】自分にエチカを読ませた張本人の続編を! 通読中はマチ先生が素敵過ぎて、自分がどんどん情けなくなってしまう…非常に副作用の大きい作品でもあった。さて、マチ先生は二刀流である。ド優しい心とド優れた内視鏡技術の二刀流だ。この2つを兼ね備えるからこそ理想的で幻想的な医師に思える。ただ、今後はAIと機械工学が進歩し、マチ先生得意の技術も24時間稼働可能な医療ロボットで代替出来るようになり、医療現場で人の介在が減りそうな気がする。それは現場の医師不足の解消に繋がる一方、マチ先生がいなくなりそうで寂しさも覚える。2026/06/09
うっちー
589
医療の奥深さをしみじみと感じました。今後の進展にますます期待します2025/10/19
Nobu A
587
夏川草介著書13冊目。25年発兌。「スピノザの診療室」の続編。相変わらず幽邃で壮厳な筆致だが、読み易い措辞に包まれている為、存外そう感じさせない趣向がある。主人公、雄町哲郎の出自(彫金師の父の職人気質を受け継ぎ)を徐々に明らかにし、京都の銘菓に「大黒屋の御鎌餅」を加え、知性ある医師達の矜持や哲学を人間模様を通して表出。飛良泉教授、花垣准教授、マチ先生らの駆引きや粋な遣り取り等、登場人物の絶妙な化学反応に息を呑む。哲学がない医者は「羅針盤がない船」という喩え等、含蓄ある表現も随所に挿入され、心温まる読後感。2026/06/09




