出版社内容情報
日本のソウル・ミュージック研究の第一人者、鈴木啓志が解き明かす、メンフィス・ソウルの奥深い世界、10年ぶりの書き下ろし
メンフィス・ソウルはソウル・ミュージックの入口にあり、なおかつ出口にあるようなそんな音楽だった――オーティスとO・V・ライトの、ほぼ同時に録音されたひとつの曲の謎を巡る南部ソウルの物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
58
ソウル愛溢れる著者の10年ぶりの単書。縦糸にウィリー・ミッチェルというメンフィスでも最も重要なミュージシャン/プロデューサを置きながら、メンフィスおよびその周辺のレーベル、シンガーなどの動きを追う。バックを付けたミュージシャン、特にドラマーについての謎解きが面白い。かなり細かくデータを整理し、音源を聴きこまないと到底書けない内容で、一気に読了した。おそらくこのページ数では書き切れないものもあったはずで、お元気なうちに次作を期待してしまう。本書で取り上げられた音源を改めて聴き直してみようと思った。2024/02/11
Masahiro Sumori
2
鈴木氏の前作「ゴースト・ミュージシャン」はマッスルショールズのミュージシャンたちの動きを細かく検証した内容でしたが、同様のことをメンフィス・ソウルで行った形です。ミュージシャンの動きを既存資料から浮き彫りにし、「この曲では誰々がプレイしている」などの従来の定説を一刀両断。「真実はこうだ」と力説します。その視点は興味深いのですが、決定的な証拠は残っていないためあくまでも仮説。真実と言うには無理があります。「だったら面白いね」程度の気持ちで読むのがいいでしょう。その方が音楽に対して前向きになれるし楽しいです。2024/03/04