出版社内容情報
マーク・フィッシャー[マークフィッシャー]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tenouji
11
奇妙なものとは「何にも属していないもの」の現前。ぞっとするものは「不在の失敗」と「現前の失敗」とのこと。これらは、郡司ペギオ幸夫氏の言うところの「やってくる」から考えるに、人間の認識と知覚のバグになるのか…いやいや、それよりも、フィッシャー氏の言う、資本主義の「出口」からの脱出方法だったりしてw。2023/01/16
KA
5
ディック論とリンチ論のみ。ディックの『時は乱れて』に分析は非常に整理されている。刊行が2016年ということだが、『ヴァリス』を「不気味なもの」として論じた東浩紀『ゲンロン0』との同時代性も興味深い。そしてリンチ論が素晴らしい。この「誰の夢なんだ」問題の全面展開は『リターンズ』以降であるが、これまた出版年的に『リターンズ』放映前の指摘である。フィッシャーはやはり相当に鋭敏な感性を持った受け取り手であり分析者であった。やっぱ夭逝が惜しいよ。2022/12/27
ゴリラ爺
3
奇妙なもの(the weird)とぞっとするもの(the eerie)の共通点に既存の概念や認識に回収しえない外部性・何にも属さない点を挙げた上で、前者を自明性の喪失に伴い主観の変更を迫るもの、後者を別の行為主体を感じさせるものと定義して各論を展開している。フロイトの不気味なもの(独:unheimlich英:uncanny)の議論がこの系譜の分析の進展を妨げており、まずはそれと区別しなくてはならないという話から始まるのでまず安心して読めた。解説で述べられている通り、やはり定番のラブクラフト論が面白い。2023/01/22
はしご
1
「ホラーの哲学」と合わせて読み始めたものの、自分にはまだ早かった。取り上げている作家のうち、比較的なじみのあるラヴクラフト、ディック、リンチ、ファスビンダーなどは少しは理解できたのかも?この本に対するわからなさというか自分のものにできない感じと、本で取り上げる主題は実は意外と似ていたりするのか?時間をおいて再読したい。2024/02/29
毒モナカジャンボ
1
マーク・フィッシャーの著作の中では一番積極的なものだと思うがそれがタイトルのように現れるというのがまた。ギブソンとか生態心理学系の本は読んでたんだろうか。2023/07/22