内容説明
文芸と音楽、地中海と北海、断片と物語との、あざやかな響きあい。フランス・ニース在住の俳人とオランダ・ハーグ在住の古楽器奏者による、言葉と音への親愛と懐疑に満ちた24の往復書簡。
目次
1(きらめくらくがき;耳は意味を探してしまう;なしのたわむれ;辺境への誘惑;ことばはこばと;音のこどもたち;ありやあらずと;詩と道と;存在の青い灰;片隅と世界と;ゆめにめざめる;この地上で)
2(日曜日の午後の軽い手紙;文と不死;うちのそと;ふわふわふうみ;未来を読むこと;ものがたりのはじまり;隠された接続詞;みえないたくらみ;間の呼吸;わたしのあだしの;限りない広がりと空白;ふりだしにもどる)
著者等紹介
小津夜景[オズヤケイ]
1973年北海道生まれ。俳人。2013年、連作「出アバラヤ記」で攝津幸彦賞準賞、2017年、句集『フラワーズ・カンフー』で田中裕明賞受賞
須藤岳史[スドウタケシ]
1977年茨城県生まれ。ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。演奏活動の傍ら、「望星」「三田文学」「現代詩手帖」「図書」等に書評や随筆を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月音
6
俳人・小津夜景さん(フランス・ニース在住)と、古楽器ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者・須藤岳史さん(オランダ・ハーグ在住)による古典作品・古楽を足掛かりに言葉と音について語りあう往復書簡集。古典・古楽大好き!で飛びついたが、内省的な対話はなかなかに手ごわい。宮澤賢治、パスカル・キニャール、江戸期の俳句・川柳、ロラン・バルト、アリストテレス等、古今東西の作家の作品・言葉と、日々の生活、仕事、目にした風景から生まれる思索が溶けあい、手紙を通してふたつの思索が響きあう。書くことと、演奏すること。⇒続2025/06/28
アマヤドリ
6
感想はこちらに https://amayadorinoshoko.hatenablog.com/entry/20220925/16641045202022/08/21
Mimi Ichinohe
5
フランスのニースに住んでいる小津夜景さん(詩人)とオランダのバーグに住んでいる須藤岳史さん(音楽家)の往復書簡風エッセイ。詩がふんだんに使われていて、大きくて濃厚なデコレーションケーキのような本なので、ゆっくり読むのがよいと思います。私は読むのに半年くらいかけました。詩歌とその読み解きの楽しさよ。「椅子にいてまどろみし後水差しに水あるごときよろこびに逢う/玉木徹」→眠ってる間に誰かが自分のために心を配ってくれたことと同じ喜びが、更に重ねられる状況に逢うなんて、世界は輝いてる!2024/11/08
藤
4
ニースとハーグの描写や古典と音楽が響き合う文章を愉しく読んだけど、読みこなせたかというと疑問。置いておいてまたいつか再読したい。小津夜景さんの文章に惹かれたので他エッセイも読む。2023/12/01
garyou
2
南仏とオランダと、こんなに違うのかと思って読むうちに、突然新型コロナウイルスが猛威を振るって様相ががらりと変わってしまう。というのは本書では背景に過ぎないのだが、うつくしい景色・おいしい食事・周囲の人々とのつながりが突如として断たれてしまうことに意識が向いてしまうほど、この本に書かれていることは自分にはよくわからなかった。小津夜景を追って手にした。2023/05/13