内容説明
ファーブル生誕201年の今、日本人がファーブルから学ぶことは何か?ファーブルを切り口に、考え方、教育、生き方、日本人、文化、環境問題、科学について語り尽くす!
目次
第1章 『ファーブル昆虫記』と現代
第2章 人間には自然が必要だ
第3章 ファーブルと日本人
第4章 ファーブルという生き方
第5章 日本人は最終的に自然に回帰する
第6章 予定調和でない世界に立ち向かう
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業。専攻は解剖学。東京大学名誉教授、京都国際マンガミュージアム名誉館長。1989年、『からだの見方』(筑摩書房)で、サントリー学芸賞受賞
奥本大三郎[オクモトダイザブロウ]
1944年啓蟄(3月6日)、大阪府生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業、同大学院修了。フランス文学者、作家。1981年のデビュー作『虫の宇宙誌』で読売文学賞を受賞。2006年に開館したファーブル昆虫館「虫の詩人の館」の館長をつとめる。小学5年生のときに『昆虫記』を読み、いつか自分でわかりやすく翻訳したいと考え、30年にわたって手がけた『完訳ファーブル昆虫記』(全10巻・20冊)の翻訳が、2017年に完結。同年、その功績により菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
58
ご存知養老先生と、全20巻の『ファーブル昆虫記』を訳された奥本先生の対談本。『昆虫記』とファーブルの話題を皮切りに、今世界的に昆虫が激減していることや子ども達と自然との付き合い方、日本人の虫たちとの関わり方の特異性等が話題になる。終章、西洋の価値観に毒された現代日本人のあり方から、GDP一辺倒ではなく、人間ではなく自然を相手に生きてゆく、役に立たないことをしよう!と訴える。日々齷齪している身からすると異論もあろう。一方で人工物の中でAIに踊らされている子ども達に、自然の面白さ奥深さを知って欲しいとも思う。2024/07/30
スズコ(梵我一如、一なる生命)
15
タイトルからそうだろうとは思ってたけども虫好きなら、虫の話を肴に楽しく読んだろうと思うが、養老孟司節好きなだけなら、この本はコブシが足りない。特に後半は体調不良?って思うほど少ない。知った仲だからか、もしくは収益はファーブル昆虫博物館の運営費に充てるってことにして、そもそも企画が練られてなかったのかもしれない。要は私には不満の書。その思いで寝たからか、博物館で供される日清の冷凍うどんが680円で、それを日清のCSRと謳っていて、そんなわけないだろ!と不満たらたらな夢を見ました。食堂はないと思うけど、、、。2024/09/24
noko
7
ファーブルについて知れるかと思って読んだが、ほとんど養老先生と奥本さんの対談で思ってたのと違った。ファーブルは寒村サンレオンの貧農の子として生まれ、家族4人で一部屋に暮らしていた。ベットは一つで、子供は床に藁を敷き寝ていた。92歳まで生きたが、彼の父も長寿なので、遺伝的なものだろう。今昆虫は凄まじい速度で数を減らしている。1990〜2020年で数が7割減ったというデータもあるそうだ。農薬が原因の一つだろう。ネオニコチノイド系農薬との付き合い方を考えなければ。スマホを子供に与えるな!という反スマホ話が多い。2025/01/20
Susumu Kobayashi
7
今年はファーブル生誕201年だそうである。虫好きの養老孟司と奥本大三郎の二人の対談を収録している。対談と言っても最初の一回だけがファーブル昆虫館で行ったもので、二回目以降はZoomでの遠隔対談だという。養老先生の二十年後に生まれたが、自分の少年時代にはまだ自然は豊かだったし、母の故郷に行くとずいぶんと虫に遭遇したものだ。現代では子供が虫を捕ろうとは思えない環境(そもそも安全に外で遊ばせることができない)で、確かにスマホが奪ったものは大きい。「ノースマホデー」を設ければいいと提案している。2024/10/20
さちめりー
5
ほぼ「昔はよかった」系のほのぼのした虫雑談の中に、本質をついた言葉がキラッと光る。虫はただただ怖いだけの存在だったが、養老先生の本を読むうちに、虫を触れるようになったとまではいかないけれど、虫をスゴい!と思えるようになった。自然に触れたほうがいい、と勧められても、自然に大して触れずに育ってしまったので、今から自分の日常に「人間世界と関係のない」自然をどう取り入れていけばいいか悩んでしまう。家庭菜園くらいしか思いつかない。経済停滞は環境破壊を避ける日本人の無意識の表れとする養老先生の指摘は核心をついている。2024/08/27