内容説明
済州島四・三事件を通じて、歴史と人間の真実に迫る。金石範文学の原点と言える、初期代表作を集成。巻末に『火山島』の韓国語版訳者・金煥基氏との対話、および詳細年譜を収録。
著者等紹介
金石範[キンセキハン]
1925年、済州島出身の両親のもと大阪市で生まれる。長い間韓国現代史上のタブーとされてきた済州島四・三事件をテーマにした小説などを執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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二人娘の父
7
衝撃の文学であり記録でもある。「済州島4.3事件」を題材として描かれているのは、人間とは何かという大きなテーマでもある。4つの短編それぞれに異なったテーマをもたせつつ、共通人物と思われる人間も登場。著者の中では連作的要素もあるのだろう(一人の作家の描く小説はすべて連作という考え方もできる)。金鐘時さんとは違い、著者に直接の事件の目撃経験、体験はない。であるからこそなのか、想像力あるいはインスピレーションの発揮の仕方がすごいのだ。読む人を選んでしまう作風ともいえる。しかし関心のある方は躊躇なく挑んでほしい。2023/03/17