内容説明
庭園は人間が自然を囲い込んで創造した生の営みの空間であり、そこには希望、平安や幸福、ファンタジーなどさまざまな想いが込められている。その形式は時代ごとに多彩であり、それぞれの文化において人々の想いがどのように表現されているのかを興味深く観察することができる。本書では日本、中国、韓国の庭園の美しさと特徴に、絵画的風景と詩的風景という二つの顔をとおして触れてみよう。
目次
1 風景と園林(風景の二つの顔;絵画的風景;文学的想像・詩的風景)
2 美的体験と園林美(花の自然美;山水美の抽象化;園林風景の演出)
3 三か国の園林の話(東アジアの庭園文化;それぞれ異なる自然の境界;蘇州 拙政園;潭陽 瀟灑園;京都 龍安寺)
4 祝祭と幻想庭園(祝祭園とEXPO;三か国の祝祭園の物語;幻想を追う園の未来)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tokumei17794691
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・庭園鑑賞ポイントのガイドブックというより、日中韓の庭園の思想に関する本。・「写真」「詩」をキーワードとしているわりに、カラー写真が1枚もなく(白黒だからこそ味のある写真もあったが)、漢詩の翻訳も現代訳のみなのは、残念。カラー写真主体で、漢詩の訓読があれば、著者の思いも感じられたのでは? (特に23項の写真が白黒のため、本文の思いがよく分からなかった)。・日本にも、大名の回遊庭園がある。それに触れず、京都・龍安寺の枯山水庭園を取り上げていた。著者には、寺院の座視式庭園こそが、「日本的」と感じられたのか?2023/09/24