感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
31
大人の人が書いた文章って感じがします。書き残しておきたいような文章がある。2021/12/20
ぷく
19
ここにはいない人への思いがとくとくと溢れ出てくるような作品だった。失うことによってひとはその存在をより強く意識する。だとすると、失ったはずのものも、結局失ってはいないということにもなり得るのか。オルガンのあった場所の床の色がそこだけ違うのを認め、あの日の甘美なオルガンの音色を忘れてさえいなければ。なのにいつの間にか、私たちは記憶を彼方へと押しやり、雑多な日々を受け入れるようになっていく。大切な人ほどいとも簡単に目の前から消えてしまうことを知ったはずなのに。 短編集だが重厚感のある作品群に魅了された。 2022/11/01
かもめ通信
18
これまでの作品の中から、作家と訳者が相談して選んだ7篇の作品を収録した日本オリジナルの短編集。いずれの作品も別れや苦悩を描いた悲しいトーンの物語ではあるのだが、自然の描写や人々の営みの描き方がとても美しく、読み心地も後味も悪くない。さびしいとか悲しいとか、せつないとかやるせないとか、うれしいとかなつかしいとか、言葉にしてしまうと、なんだか少しちがうような気がしてしまう気持ち、そういう複雑な心境を、そういう言葉を使わずに語り上げることこそが、物語を書くということなのかもしれないな…などと、思ったりした。 2022/10/04
nightowl
6
事故を起こした男が自分の生き方を省みる「彼がいま草むらの中で」、父娘の絆「ジャガイモを食べる人たち」、家族を喪った不幸からの再生「暗くなったあとに」等沈黙する男を書かせたらお手のもの。生きづらい男をテーマにした長編が読みたくなる。男は黙って、な旧来の価値観は隣国も同じらしい。2023/09/24
おひだい
4
タイトルがかっこいい。のに、不倫のお話…。 時間軸も曖昧だし、それぞれの人物の像もぼんやりしていて掴みづらい作品もあるが、悲しさを描いてくれることで安心できるのだ。韓国文学はどの季節も冬の鋭利さを持っている。 「彼がいま草むらの中で」が一番分かりやすいかも。 手紙ベースの作品が多く。すべてがぼんやりしている。それゆえに心に届く悲しさもある。2025/04/17
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- 和書
- 中世の写本ができるまで