内容説明
世界から56人が集結!パンデミックの中で詩人たちが見たものとは?
目次
このすべてが(アナ・リストヴィッチ)
花瓶と波の距離(李源)
歌(李三礼)
敵の居場所(李章旭)
地球にステイする私たちは(いとうせいこう)
ヒポコンダー・心気症(エドガー・ヴァッサー)
それ(呉銀)
必要な店(大崎清夏)
新生国、星くず(厳源泰)
わたしは泉(オーレリア・ラサック)〔ほか〕
著者等紹介
四元康祐[ヨツモトヤスヒロ]
1959年、大阪生まれ。86年アメリカ移住。94年ドイツ移住。91年第1詩集『笑うバグ』を刊行。『世界中年会議』で第3回山本健吉賞・第5回駿河梅花文学賞、『噤みの午後』で第11回萩原朔太郎賞、『日本語の虜囚』で第4回鮎川信夫賞を受賞。2020年3月、34年ぶりに生活の拠点を日本に戻す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夜間飛行
192
コロナが世界を変えてしまった今、人との距離、共に過ごす時間に小さな手掛かりを求める。《低い鼻、細い目、黒い髪/つまり、今や僕とは「リスク」だってこと》…自分がリスクだと知った詩。歌うことによって、遠くにあるか近くにあるか判らないコロナの脅威から自分を探り当てていく。けっこう楽しい。《必要な店》の外壁を黄色に塗る詩…扉や窓を禁じられた状況で、壁を黄色に塗る。色とは言葉。マスクを付けることで言葉は変わらざるを得ない。が、言葉は人の生理、いのちの迸る泉。《あれは剥がれた空/それとも雲?》…詩は永遠への問いかけ。2021/09/11
かもめ通信
15
コロナ禍をめぐるアンソロジー詩集。編者は世界を舞台に活躍する詩人の四元康祐さん、出版社は主に韓国文学の出版を手がけるクオンだから、日本と韓国の詩人の割合は高いが、約20ヶ国、56人の詩人が収録されている。どこから読んでもいいし、ちょっとした隙間時間に読むのもいい。そしてこれを読んだら、たぶん きっと あなたもなにか書きたくなる。2020/12/02
スイ
14
様々な国籍の方が、コロナ禍で書いたアンソロジー詩集。 コロナ禍についてでも、自身や近しい人との感情であったり、社会問題に関してであったり、それぞれの詩の主題は色々。 でも、世界中で共有したその時間のことなので、どの詩もどこか通じるものを感じた。 とても面白い作品。 「サリには」(許栄善)が特に好き。2024/04/21
mawaji
9
日経で取り上げられていたのを見て手に取りました。ふだん現代詩に親しむ習慣がなかったけど今のこの時期だからこそ興味深く鑑賞できました。私が知らないだけで世の中にはこれほど多くのユニークな詩人がいたのですね。気になったのはエドガー・ヴァッサー「ヒポコンダー」、最果タヒ「私の家」、英訳されたルーマニア語の俳句を俳句調に邦訳したダニエラ・ヴァルヴァラ「呼吸の練習」、細田傳造「空」、三宅勇介「マスクマン」あたり。コロナが猖獗を極めようと私たちは地球にステイするしかないのだ。益のなき テレビを売りて 夏の本 D.V.2020/12/21
きょん
2
現代の、いまの、地球上の言葉を編んだ詩集。みんな戸惑ったり、不安な気持ちになったりしているけど、ソーシャルディスタンスを保ちながらわたしたちは一緒に生きているんだと、孤独ではないと感じられた。2020/12/26