内容説明
同情するなら出張に行かせてくれ!一年中海外を飛び回っている商社勤務の有田ユカリ。ある日、本社に呼び出されると、いきなり出張禁止を告げられた。理由は、体脂肪率が高いから。万が一があると困る、という。思いがけず日本での暮らしを強いられたユカリは、既婚か未婚かばかり問われる未だ昭和なスピリットの村社会っぷりにげんなりし、今すぐにでも海外にエクソダスしたい。そこで、体脂肪率を会社の規定値まで下げるべく熱心にジムに通い、狙い通り数字も改善されてきた矢先、あるものを拾い…。新鋭・石田夏穂の本領発揮。世相をえぐる圧倒的皮肉に爆笑&快哉!
著者等紹介
石田夏穂[イシダカホ]
1991年埼玉県生まれ。東京工業大学工学部卒。2021年「我が友、スミス」が第四五回すばる文学賞佳作となりデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
135
会社×「体脂肪率」の諧謔でクスリとさせ、社会×「結婚観」の皮肉でチクリと刺すー。屈託&メンタル強めの変人描きと筋トレミックスによる独自の切り口は、もはや石田さん王道路線かも知れない。変人ではあっても決して悪人ではない、前作・チームリーダーに続くのが、今作の海外出張エキスパート・加藤忠商事のユカリ(37歳)。左手薬指の指輪一つで豹変する周囲の見方、見え方、態度に評価・待遇こそが、“冷ややかに輝く悪魔“の所業!と痛烈に皮肉る石田筆。「抜け感」のある会社描きで、読み手を楽しませる作品をこれからも期待したい。2025/08/21
R
107
世間並とは何かをつくづく考えさせる物語だった。いわゆる常識というものにそぐわない主人公が、好きに生きているだけなのに、なんとなく居づらいという状態になっていることが、仕方なく通うことになったジムでのトレーニングからあれこれと判明していくのがつらい。それをものすごく解消したかのようにある嘘に出会うのだが、それがまた、ちょっとした躁状態による錯誤だったようでもあり、最終的にすべてが暴かれた時に自分を取り戻したかのような高揚に包まれるというお話に読めるのだが、そんな大層な話しではないのがよかった。2026/02/15
たま
82
石田夏穂さんの【筋トレ×会社】小説。【体脂肪率が高すぎて出張禁止】なる設定が面白くて読み始めたが、ユカリの数値が気になって小説ではなくノンフィクションみたいに読んでしまった:海外出張が多く体力が必要なのにフィットネス意識ゼロのユカリは大丈夫なのか、ジムがお粗末じゃないか(女性は上腕の筋トレしなくて良いなんて唖然)等々。小説は社内やジムの人間の結婚観の方向に進んでゆき、それはそれで面白いが、今でもこんなふうなのか?ユカリの経歴を考えるともっと対応できるはずでは?と思う。最後の体重と筋肉量を知りたかった。2025/08/04
ネギっ子gen
81
【世界を股にかける女】勤続15年の商社勤務のユカリは、久しぶりに本社へ戻って、人事の「健康増進チーム」の人らしい兄ちゃんから、「実は前回お受けいただいた健康診断で、お伝えしなければならない事項がございまして……」に続き、目線は下げられたままで「出張禁止になります」と告げられる。理由は、体脂肪率が35%だったから。<先の1月から「新ルール」が適用され、生活習慣病の人、“およびその予備軍の人”に、社として海外派遣はさせないらしい。/男性は体脂肪率20%以上、女性は体脂肪率35%以上が予備軍に分類される>と。⇒2025/07/25
ゆいまある
72
石田夏穂がまたスポーツクラブで鍛える話を書いてくれた。もう好きしかない。言葉の一つ一つが脳に甘く沁みる官能。商社の独身バリキャリが体脂肪率が高過ぎることを理由に海外出張を止められる。勿論根性で痩せるのだが、その途中、ふと拾った結婚指輪(ひんやり冷たい)を嵌めて既婚者のフリをしてみたら周囲が急に好意的になり「一般人のフリをすると生きやすい」ことを発見する。そうです。未婚であるというだけで何故か社会不適合者扱いされる世の中。だって私みたいな変人でも妻で母だというだけで妙に安心されるのほんと不思議。2025/11/30




