内容説明
同情するなら出張に行かせてくれ!一年中海外を飛び回っている商社勤務の有田ユカリ。ある日、本社に呼び出されると、いきなり出張禁止を告げられた。理由は、体脂肪率が高いから。万が一があると困る、という。思いがけず日本での暮らしを強いられたユカリは、既婚か未婚かばかり問われる未だ昭和なスピリットの村社会っぷりにげんなりし、今すぐにでも海外にエクソダスしたい。そこで、体脂肪率を会社の規定値まで下げるべく熱心にジムに通い、狙い通り数字も改善されてきた矢先、あるものを拾い…。新鋭・石田夏穂の本領発揮。世相をえぐる圧倒的皮肉に爆笑&快哉!
著者等紹介
石田夏穂[イシダカホ]
1991年埼玉県生まれ。東京工業大学工学部卒。2021年「我が友、スミス」が第四五回すばる文学賞佳作となりデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pohcho
64
年がら年中海外出張ばかりしている37歳商社社員のユカリは、本社から出張禁止を言い渡されてしまう。理由は体脂肪率が高いから。それで仕方なくジムでパーソナルトレーニングを始めるのだが、筋トレよりもトレーナーとの雑談に困ってしまう。しかし、ジムであるものを拾ったことから・・。筋トレの話かと思って読んだら、独身女性がうそをつく話だった(「冷ややかな悪魔」ってそういうことね)確かに、よく知らない人との雑談は話題に困るよね。相変わらず主人公の言動が面白くてニヤニヤしながら読んだ。結局、ユカリは出張に行けたのかな?2025/05/12
ネギっ子gen
57
【世界を股にかける女】勤続15年の商社勤務のユカリは、久しぶりに本社へ戻って、人事の「健康増進チーム」の人らしい兄ちゃんから、「実は前回お受けいただいた健康診断で、お伝えしなければならない事項がございまして……」に続き、目線は下げられたままで「出張禁止になります」と告げられる。理由は、体脂肪率が35%だったから。<先の1月から「新ルール」が適用され、生活習慣病の人、“およびその予備軍の人”に、社として海外派遣はさせないらしい。/男性は体脂肪率20%以上、女性は体脂肪率35%以上が予備軍に分類される>と。⇒2025/07/25
もぐもぐ
55
大手商社で勤続15年、海外を飛び回るバリキャリのユカリは、体脂肪率が規定を超え出張禁止を命じられる。スポーツジムで自らの体脂肪と向き合うユカリ、石田さんの筋トレものにハズレなし(笑)。ただ今回は、ジムで”あるモノ”と出会ったことで、ユカリは新たな世界を知ることに。調子に乗って嘘を重ねるユカリの暴走にドキドキしつつ、最後はちょっとホッとする終わり方でした。ユカリは無事海外赴任できたのかな? 石田さんらしさいっぱいのエンターテイメント作品でした。2025/06/27
がらくたどん
54
書影だと見えないけれど裏返すと「左手の薬指」に小鳥が留まってんのよ!睨みを利かせた「青い鳥」!社内報で「ご結婚・お誕生おめでとう!」報が流れる一流商社の本邦勤務に馴染めない海外出張依存症社員・有田ユカリ(独身)にまさかの「体脂肪率治療予備軍」認定による出張禁止令が。抵抗虚しくジムに通う彼女はある日拾ってしまったのだ。冷たく輝く小さな輪っか。装着の誘惑に負けた彼女に悪魔は囁く「奥さんごっこすれば?」走れユカリ!あなたの薬指にはジト目の青い鳥が一番似合う。すごく可笑しくてチョッピリ哀しくて盛大に頭が沸騰した♪2025/05/23
たま
53
石田夏穂さんの【筋トレ×会社】小説。【体脂肪率が高すぎて出張禁止】なる設定が面白くて読み始めたが、ユカリの数値が気になって小説ではなくノンフィクションみたいに読んでしまった:海外出張が多く体力が必要なのにフィットネス意識ゼロのユカリは大丈夫なのか、ジムがお粗末じゃないか(女性は上腕の筋トレしなくて良いなんて唖然)等々。小説は社内やジムの人間の結婚観の方向に進んでゆき、それはそれで面白いが、今でもこんなふうなのか?ユカリの経歴を考えるともっと対応できるはずでは?と思う。最後の体重と筋肉量を知りたかった。2025/08/04